テニスの王子様 | ナノ


生産 #

 本来の用途とは全く別の形で使用されている器官の内壁が引きつる。ずるずると出し入れされる性器に絡みついた体液が耳障りな音を立てる。その音に混ざる二人分の荒い呼吸と声にならない己の声。それら全ての音から逃れたくとも両の手は背に固定されてしまっていてどうにもならない。開けっ放しの口から垂れる唾液も生理的に流れる涙も拭うことが出来ない。同意の上の行為であるはずなのに毎回必ずと言って良いほどに腕は自由を奪われた。一度背中を爪で引っ掻いたのがよほど気に入らなかったのだろう。シーツに押し付けられた左頬から徐々に感覚が奪われてゆく。行為が始まってから長いことこの体勢であるからその箇所の血流が止まっているのだろう。一方的に与えられる強い快楽は一向に終わりが見えなかった。許容範囲を超えたそれに頭はおかしくなり喘ぎながら幸村の名前を連呼することしか出来ずもう何度目になるのかわからない射精をした。俺の体内には幸村の精液が湯水のように注がれ溢れたものが股を伝ってゆく。行為が始まる前口付けながら幸村が言った言葉をぼんやりと思い出す。俺ね真田との子供が欲しいんだけどお前も俺も男だから結婚だって出来ないし子を孕むことすらできないんだでも俺は真田が好きで大好きで愛していてもうどうしようもないくらいなんだ。腕の拘束が解かれ終わりの見えなかった前後運動が止む。そして反転。久しぶりに見た幸村の顔は汗にまみれ恍惚としていた。白い指先が汗と涙と唾液に濡れた頬を一つ撫で微笑むと果てしなく思われた行為が終焉へ向け再開される。限界を迎え遠ざかる意識の中幸村が何かを言うのが解った。声として認識されなかったそれは脳内で刷り込まれた愛の言葉へと変換され身体中に染み込んだ。
 結局俺はお前のその一言で全てを赦してしまうのだろう。
 
 
 

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zatsu。


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