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白い服に身を包んだ俺はやや緊張しながら椅子に座り直す。落ち着かない俺を隣でなまえは笑っていた。

周りはかなり騒がしく、本当に俺たちを祝いに来ているのかただ騒ぎに来ているのか分からなくて思いやられる。
まあ、でもおめでたい席だし、目一杯騒いでもらった方が有り難いのかもしれない。俺はそう思いながら隣に居るなまえに小声で話しかけた。



「うるせえな、みんな」
「ふふ。でも、ジャッカルくんは嬉しそう」
「当たり前だろ?こんなに嬉しくて楽しい日は初めてだ」



俺たちが話をしているのも皆が面白がって写真に撮る。フラッシュがまぶしくて少し目を細めた。



「そうだね。私もこんなに幸せなことはないよ」
「だろ?」
「…ありがとう。ずっと、病める時も健やかなる時も一緒にいてね」



純白のドレスに身を包んだなまえがあまりにも幸せそうにそう言うから、その幸せを一緒に共有してるっていうだけで本当に俺まで嬉しくなった。
これから、なまえを俺の一生をかけて守っていくんだと思うと不安なことよりも期待が勝ってしまう。

ああ、なまえはずっと俺の傍でこうして幸せそうに笑ってくれるんだ。最初会った時の笑顔のまま。

どうしようもなく、なまえの笑顔に胸がいっぱいになって返事も出来ない。そんな俺を分かっているとでも言うようになまえは俺のひざに手を置いて、落ち着かせるように少しさすってくれた。



「約束する」
「…私もずっと傍にいるよ」



さっきの誓いの言葉への返事よりも嬉しくて、俺はその柔らかな手を握る。その瞬間、少し照明が落ちてスクリーンが降りてきた。



「それではただいまより。新郎新婦と、新郎のご友人が有志で作成したお二人の馴れ初めのビデオを上映いたします」



賑やかだったみんなが嘘のように静まり返る。俺も顔を上げてそっちを見た。

正直小っ恥ずかしいが仕方ない。ビデオの制作は柳が言い出して編集したために、まだ完全編を見たわけじゃないから変に緊張してしまう。一応、俺が主演なわけだし。なまえも未だに見ていないだろう。


暗闇の中に一筋、プロジェクターが光を射す。なまえの顔はそれに照らされて綺麗だった。




“Presented by Rikkai University’s Members”

“We Are Very Happy For You!”


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