reminiscence world | ナノ
寒くて重ねた手にため息に似た吐息を吹きかけた。すぐに消えた真っ白な霞が私の寂しさを異常なまでに掻き立てる。
こうして私も消えてなくなりたい。強く思うも、それは叶わない。
街を彩るイルミネーション。世間はクリスマスイヴらしく華やかな飾りで彩られており、街に溢れる恋人たちで賑わっていてうんざりした。彼氏がいないわけではないのに、明るい気分でなんか街を歩けない。罪悪感だらけ。もう、本当に消えてしまいたい。
私はポケットに手を入れて金属の輪に触れながら、昨日の岳人の言葉の経緯を回想し始めてみる。
『お前がしたいようにしたらいいんだぜ』
岳人はずっと私の心配だけをした。一番最低なことをしているのは私なのに、私のことを一切咎めてはくれなかった。
もういいよ、って私も言ってあげればいいのに。手放すことが出来ないから、私は岳人の優しさに溺れてだんだん駄目な女に腐っていく。誰も幸せなんかじゃないこの関係をずるずると続けて行く。
『俺は本気で好きだけど、無理なら…俺は…』
どちらを選ぶか、何て。できないよ。どうしたらいいのかさえ、わからないんだから。
助けてよ。ねえ。
Reminiscence World 1224
Hajimari,hajimari.....
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