「ぁ…」


急に目眩がしてソファに倒れるようにどさりと音を立てて座れば、すぐにドルベが駆け寄ってくれた。眼鏡が少しズレている。
隣の部屋で読書中のドルベに温かい紅茶をいれようと、ソファから立ち上がったときのことだった。やっぱり、部屋の扉を開けたままでよかったと感じた。ドルベがちゃんと気づいてくれたから。
大丈夫か、と顔を覗き混むように私を心配そうに見つめるドルベの行為がとても嬉しくて、目眩から来た頭や体の気だるさなど一瞬で吹き飛んだ。


「ありがとう。大丈夫だよ」

「それならよかった」

「今ドルベに紅茶いれようと思ったの。少し休んだらいれるね」

「あまり無理はするな」


うん、と少し眉を下げながらも朗らかに返事をして隣の部屋に戻るドルベを見送った。私の体調がよくなくても気にせず本を読めるのかな、て思うと悲しくなった。
正直もう休まなくても平気だから立ち上がって台所に向かおうとするとき、急に力が抜け足首を捻り体勢を持ち直す暇なく床に倒れてしまった。またもやドルベが急いで駆けつけてくれた。
左足首が痛い。


「腫れてる…少し待っていろ」

「ご、ごめんね」

「謝ることはない」


ドルベは救急箱を持ってきてくれ、私の足首に優しく湿布を貼ってくれた。包帯を巻く際に触れるドルベの手は温かくて心地よかった。


「全く君は目が離せないな」


じゃあずっと見ててよ、なんて言えるはずもなく私はただ少し笑って見せた。
ドルベは私の頭にぽん、と手を乗せ少し撫でると救急箱を戻しにいってしまった。残された私は腕の力で体を持ち上げソファに座った。
やがて、救急箱の代わりに本を持ってドルベがやってきた。ドルベは私の隣に静かに座り本を読み始めた。
私はドルベの横顔をしばらく見つめた後ドルベの肩に寄っ掛かった。


「ドルベ何読んでるの?」

「宇宙の法則」

「面白い?」

「ああ」

「ねぇ、ドルベ。好き。」

「ああ」


反応が少し薄いものだからドルベの肩に預けていた頭をあげ、ドルベに向かって大好き、と言った。
するとドルベは私の目を見て私の髪に優しく触れて、私も好きだ、と返してくれた。
たったその一言でも私の心は満たされ気分がよくなってくる。挫いた足も心なしかよくなってきた気がした。
最近怪我や病気をよくするけれど、ドルベがいればどんな怪我でも病気でもすぐに治ってしまいそうだ。









循環に陥る





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