「ナンバーズ回収完了」


今回のナンバーズ所持者は手強かったが所詮俺の敵ではなかった。半日で既に二人のナンバーズ所持者を見つけることができ回収も済んでいるからこの調子で三人目も見つけてやろう。ハルトを早く救うために…。
後ろを振り向けば、顔を紅潮させ、興奮しているやつがいた。


「カイト様お見事です!今の戦術しびれました!あのタイミングで流れるようなコンボ…誰が予想したでしょうか!?」

「黙っていろ」

「はい!かしこまりぃ!」


黙れといったのに元気よく返事し、にっこりと微笑んだ。俺が踵を返し国道沿いに歩き始めると、後ろをばたばた小走りについてきた。
オービタル7よりも無駄にしゃべり、動作までもがうるさいこいつは数日前突然現れた。いや、俺が見つけたというのか。いつものように時間の進みを遅らせ、ナンバーズ所持者を探していたときにみつけた。驚いたことにこいつはナンバーズに操られるのはごく限られた条件下のみでなかなか闇に染まるときがなかった。こいつが特殊フィールドの中を動いてなければナンバーズ所持者だと気づかなかったであろう。その上事態を呑み込んだ途端「あなたにとって99人目のナンバーズ所持者になりたい」といいだした。女の魂ごとナンバーズを狩るのは気が引けたから、最後には直接ナンバーズを渡す、との約束をして見逃してやった。どうせ逃げられないのはわかっていたから約束しただけだが、いつの間にか俺につきまとい始めた。その理由は本人曰わく「カイト様から逃げられたと思われたくないから」らしい。迷惑極まりない。


「カイト様そろそろご飯食べた方がよくないですか?」

「時間がない」

「そんな!体が資本なんですから食べなくちゃ!カロリーのあるもの買ってきます!」

「おい!待て!」


あいつは走って近くのコンビニに入っていった。
ちょろちょろと動き相変わらず世話しない彼女に思わず笑みがこぼれたがすぐに唇を真横に結んだ。
また、だ。何をしているんだ俺は。ハルトは今苦しんでいるのに、何故笑うという行為ができる。楽しんではいけない。笑ってはいけないのだ。
こんなのあいつが俺に付きまとうようになってからだ。認めたくはないが、楽しいと感じることが増えた。しかしそれと同時にハルトへの罪悪感がわく。これ以上悩むのはごめんだ。


「もう俺に構うな。迷惑だ」


お待たせしました、と弁当やら栄養ドリンクが入った袋を俺に突き出す彼女に言い放った。冷たいようだが、ここまで言わないと彼女はこの先ずっと俺につきまとうだろう。


「そんな苦しそうな顔をしている人を放っておくなんてできません!ハルト君を助けたいあなた様みたいに私はカイト様を助けたいのです!」


彼女は眉を八の字に下げ、強くいう。俺を助けたい?おまえのその行為か好意かは知らんが、それが俺を悩ますのに。


「だが…」

「何故そのようなことをいうのですか?やっぱり少しは休まないと。そうすればハルト君救出に近づけますよ!だって休めば冷静な判断できますし、効率がよくなるんですよ!」


俺が休むことで早くハルトの目を覚ませる、か。そんな考えは思い浮かばなかった。いや、こいつに会うまでの俺ならそんな考えさえ提案されても突っぱねただろう。
そうか。たまにはいいのかもしれない。少し楽しむくらい。人間らしいことをしても。
ほんの一時だけでも、と彼女の腕を引っ張り身体を引き寄せて抱きしめた。


「カイト…様…?」

「しばらくこのままでいさせてくれ」









元気回収
「しばらくと言わずに永遠にお願いします」
「それは断る」

(数秒後には仕事モードにフォトンチェンジ!)



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