昼頃町の郊外でジャンとアンドレとぶらぶら歩いていると前にガリガリの外国人が四人歩いていた。背格好からして東洋人だな。20代か十代後半くらいだろうか、男女仲良さげに歩いていてこのリア充が、と羨ましげに見ているとアンドレが肘で小突いてきてきやがった。角に裏拳食らわしたら折れちまった。だっせー、と指差して腹抱えて笑うと、アンドレがいつにもなくご立腹で角を整えながら、俺のセットした自慢の髪を肘で突っついて崩してきやがった。
そのときだった。女の子の短い悲鳴が聞こえたのは。何かと思って声のした方を見れば、誰もいなくて、ただ前方にさっきのやつらが全力疾走していた。小粒が三つ、一つ足りねぇな。


「おい!ジャン!」


ジャンはスタスタと路地裏に入り込んでいった。アンドレと顔を見合わせてからついていくと、路地の壁に女が寄っていて、ジャンがホームレスの男の腕をひねりあげていた。男の手からは高そうなデジカメがこぼれ落ち、ジャンは軽やかにキャッチし、男から手を離した。他にも何人か後ろのほうにいたホームレスは手は出してこないが野次っている。


「なにをする!?」

「俺は女に興味はないが、男には、ある」


チャキ、とベルトが外れるような音が鳴る。
チームメイトの発言と行動がイマイチ理解できずにただホームレス同様固まっちまった。
突然一人のホームレスが「に、逃げろ!」と叫ぶと、一斉に反対側の道を駆け抜けていった。


「フォア・ザ・一般ピープルだ」


ベルトを再び付けなおして、ジャンはこっちを向いて肩をすくめた。や、うまくねぇよ、とツッコミたいのをこらえ、意外と平和主義な仲間が通り過ぎそのたくましい後ろ姿を見送った。「置いてくぞ」と振り返るから、そういえば、とさっきの子をちらり、と見ると口許に手を当て、顔を真っ赤にさせ目を輝かせていた。隣のアンドレを見ると手に汗握っている。アンドレはどうやら仲間の勇士に感動したようだがあの子はきっと…、






恋に落ちたのだろう
(羨ましいったらありゃしねぇ)




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