徹夜でまとめあげた書類を持ち作業室をでたわけだけど、すぐに室長に出しに行くのも面倒くさいし、体がだるくて室長の部屋までたどり着ける気がしないから一休みしようとロビーのテーブルに書類を投げ置き、テーブルのまえのソファーにダイブした。


「喉渇いた、眠いよ、ひもじいよー」


こてん、とソファのひじ掛けに頭を預け、ロビーにある自販機で何を買おうか考えた。
紅茶かオレンジジュースがいいな。いや、やっぱオレンジジュースは駄目だな。前に室長にお子様って言われたしなぁ。


「何をしている」


突然降りかかった声に目を開ければ(目閉じてたんだ。今寝たら確実に提出時間内に間に合わなくなる!)、仁王立ちの(元)キングがいた。


「イケメンだ。目の保養だ」


どっかのピエロとは大違い。よくみりゃ可愛い顔してるけど、(元)キングと比べてはいけない。色んな意味で次元が違う。


「当たり前だ!今更何を言う!」


褒め言葉に対して怒るなんて可愛い性格。本当にどっかのピエロとは大違い。あいつに言っても、あなたよりはなんちゃら、と皮肉っぽく返されるんだよ。きっと。


「ピエロじゃなくてジャックが室長だったら…」


いいのに、と続けようとしたけれど止めた。
(元)キングがシグナーである以上ありえないという妄想じゃない。もし彼が室長だったら、と本気で考えたら鬱になった。室長だからと偉ぶってピエロ以上にこき使うに違いない。
待てよ。今思えば室長はピエロで最高なんじゃないか。だって私のが背高いし、可愛いし、きれいだし。うわぁお、見下せる要素満載!


「よっしゃ!」

「どこへいく?」

「愛しの室長のもとへいざ参らん!」

「は?」


訳がわからん、というような反応をされたけど、私はそれを無視し、走って室長の部屋に向かった。
部屋の前で一旦止まりICカードを扉の隣についている読み取り機にスライドさせて中へ入った。室長はデスクワークに集中しているようで顔を上げずに、あなたですか、と呟いただけだった。


「室長!私は私より劣っているあなたが好きです!一生ここの室長でいてください」

「相変わらず騒がしい方ですね。それで書類はできたのですか?」

「あ…できました…けどロビーにあります」
「できたのなら早く持ってきなさい!!締切の時間までまだ余裕があるからって嫌がらせですか!!」

「さ、さーせん」






呑んで、挑んで
(急いでロビーに戻って書類を見つけ…そして気づいた)



(さっきの室長とのやり取りのときのこと)



「何あいつの見下し目線」


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