「藍神、お前ほんと可愛い顔してるなぁ」
「やめてください」
遊戯君達と下校途中、クラスメイトの藍神君が百済木集団に絡まれていた。河川敷の橋下の壁に追い詰められ、携帯を向けられ怯えていた。
「何よあれ」
「あの野郎」
私と城之内君は同時に橋から河川敷に飛び降り、藍神君を助け出した。
百済木集団は何かぶつくさ言いながら去っていった。
「大丈夫?」
「ありがとう」
藍神君はにっこりと微笑み、その綺麗な顔にドギマギしてしまった。
藍神君はクラスじゃ全然目立ってなくて、いつ転校してきたかもわからなかったけど、かなり綺麗な顔立ちをしていることに初めて気づいた。
遊戯君達も河川敷に降りてきて合流できたので、皆でそのままぞろぞろと帰り道に戻った。
誰も藍神君に見向きもせずに。
ただ私だけが、藍神君を気にしていて、ぼうっと突っ立ている彼を置いていけないでいた。
「藍神君、帰れそう?」
「君は・・・」
突然時が止まったかのように周りの音が消えた。空気が変わった。世界が段々暗くなる。
恐怖で動けないでいると、藍神君は私に近づき手を差し出した。
「君も僕達の領域に来ないか?」
「領域?なにそれ?これってどういことなの?」
「僕の名前はディーヴァ。君はシン様の言う選ばれし者だ。僕と一緒にくれば全てを教えよう」
藍神君の訳のわからない言葉なんて気にならなくて暗闇から逃れるように藍神君の手を握った。
その時藍神君はさっきとは違う微笑みを浮かべ、私の手を引っ張り、抱き寄せた。光に包まれる中、耳に藍神君の唇を感じた。