※性悪口悪夢主とMギラグ









「おまえ生意気なんだよ!」

「きゃっ」


生意気な一年生を校舎裏に呼び出し、制裁した。男に色目使って調子に乗りやがってムカツク!何がきゃっだよ。可愛い子ぶってんじゃねぇーよ!
女がふらふらと立ち上がったところで胸ぐらを掴みもう一発食らわそうとしたとき、誰かに強く腕を捕まれ邪魔された。人気に気づかなかったので、びっくりして見ると大柄でファンキーな男だった。学校で一回見たことあるかもしれない。というか、一回だけ話したことあるわ。名前は確かギラグとか言ったら気がする。サインしてあげたし変な名前だったから覚えていたのだ。
やっべ。ファンに見られちゃった。でも、まあいいか。


「何?」

「止めろよ。相手は女の子だぞ」

「あんたには関係ねぇだろ」


この男ならいいか、と学園での私の笑顔も言葉使いも忘れ素で対応した。腕を振っても予想通りギラグの力には勝てなくて意味がなかった。クソ野郎。


「まさか俺の好きなアイドルがこんなだったなんて…」

「うっせー。離せよ豚野郎」

「ぶ、豚野郎だと…!」

「いっ…」


私の腕を掴んでいる手にぎゅっと力を入れられ痛みを感じた。ああ、もう最悪。


「豚野郎!豚野郎!クソ豚野郎!さっさと離せ!ぶっとばすぞ!」


おもいっきり睨めつけ憎しみを込めて怒鳴り散らせば、ギラグはどんどん顔を真っ赤に染め上げていた。
あー怒れ怒れ。彼が手を出そうとしたときになったら、叫びまくって助けを呼んでやる。停学になっちまえ!
彼が先生に捕まり連れられて行くところを想像していたのだけれど、不意に気づいたことがあり、現実に戻った。
こいつの目、なんかキラキラしてる。ま、まさか…。


「おい、豚野郎!」

「なんですか?」


期待したように目に光を宿し、真っ赤な顔で敬語で答えるものだから絶句してしまった。
き、気持ち悪い!


「離さねーと、テメーのその髪むしって豚に食わすぞ」

「は、はい」


脅せば少し嬉しそうに、腕を離してくれた。何こいつ。Mなの?ドMなの?
微かに痛みを感じる腕を動かし、状態を確かめながらさっきの女の方を向けばいなくなっていた。あーあ。逃げられた。逃げられた挙げ句にキモ男に正体バレるとか最悪。ムカムカして、ギラグに蹴りを入れた。どうせ私には手がだせないんだろ?


「あ、あひー!」


変な奇声を上げながらギラグは蹴られた脚の方を押さえながらぴょこぴょこと漫画のように跳び回っていた。
キモい。さっさと帰ろ。
近くの木の下から鞄を拾い上げ、彼に背を向け校門へ向かおうとしたけれど、何か言い得ぬスッキリとした気分であることに気づいた。邪魔されたのに何この気持ち。
ふと、あることを思いだし少し道を戻ってぼーと突っ立っていたギラグの胸ぐらを掴み引き寄せた。


「私のこと言いふらしたらもう罵倒も暴力もしねーからな」


眉間に皺を寄せながら脅すように低い声で言えば、彼は嬉しそうに頷くのだった。






No Fallen Idle







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