※ミザエルさんに無理やり乱暴されるので注意





街中で近くの他校生と一悶着あり、路地裏で決着を着けた。決着といってもただ一方的に文句を言わせ、突き飛ばされただけで終わった。特に怪我はしていないけれど、お尻が痛いのと制服が少し汚れてしまったのが気になる。
スカートを払いながら、路地から出ようとしたところ、 色素の薄い黄色系の髪色をした男の人に道を阻まれていた。ツンとした、美人とも形容できる顔立ちと雰囲気を纏っていて別に嫌いなタイプではなかった。華奢で綺麗な上に恐らく2つくらい歳上かなて思うくらい若い感じだったけれど全く恐怖心はなかった。相手との距離は約1メートル半。嫌が応にも目が合う。何をしたいのだろうか、この人は。何も言わないので、こっちから愛想笑いしながら聞くことにした。


「何か用ですか?」

「何故抵抗しなかった?」

「必用なかったからです」

「必用ないとはどういうことだ」


思わず眉根を寄せてしまった。何でこの人はこんなこと聞いてくるのだろう。それにさっきの問題児が去った後に来て、一部始終を傍観してたことを隠さずそんな質問するなんて可笑しい。変な人。


「穏便に事を済ますのは反応しないことが一番です。だって相手はストレスを発散したいだけですから」

「ほう。では殴られたらどうするんだ?」

「3対1です。そこそこ人通りのある道の路地で、手元には防犯ブザーがありましたので問題ないです。それに相手は女の子でしたし、限度はあるでしょう?」

「甘いな」


手のひらのピンク色の引っ張るタイプの防犯ブザーをぶら下げるように見せて見れば、相手は特に肯定もせず間もなく偉そうにいい放つのでムッとした。


「それで、男性ともあろう人が何もせずに傍観していたのですか?」

「流石に危なくなったら止めようとは思ったが問題無さそうだったからな」

「ならどうして私に絡んでくるんですか?」

「おまえに興味が湧いたからだ。まさか何も抵抗せず、平気な顔していられるとは思っていなかった」

「そうですか。それならもう私に聞くことはないですよね?」


退いてくださいよ、と言わんばかりに一歩近づいた。けれど、相手は動かなかった。
睨めば何ともないツンとした表情で見つめられる。


「私はおまえのような存在を認めたくない」

「なっ…どういう意味ですか?」


彼はゆっくりと私に近づいてきた。何かされる、と身構えながら後退した。けれど、彼の方が早く防犯ブザーを奪い取られ放り投げられた。あっ、と声を上げる間もなく両腕を捕まれ、持っていた鞄が床に落ちた。彼は息がかかる程顔を近づけ、私を睨んでいる。整った顔立ちが余計に彼から受ける印象を恐ろしくした。


「おまえにはプライドがないのか?」

「プライドならあります。離して…っ!」


顔をつきだしてきたかと思うと口を塞がれた。歯と歯がガッと嫌な音を立ててぶつかった気がした。嘘…キスされてる!
頭を避けようとしても壁に固定され動かせない。恐怖で、目に涙がじわり、と滲み頭が痛んだ。何度も角度を変え啄むようにキスしてくる。彼氏ともしたことのなうなとても激しいキスだ。好きでもない相手とのキス程不快なものはない。いくら相手が容姿端麗な人でもそれは変わらなかった。気持ち悪くて吐きそうだ。
口内に侵入してきた舌を噛もうとしたが、力が入らなかった。やがて腰が抜け壁伝いにずるずる、と地べたにへたりこんでしまった。相手は私に頭の高さを合わせる気がなかったようでキスを止めてくれた。


「貴様みたいなやつを見るとめちゃくちゃにしたくなる」


怖いけれど、ゆっくりと上を向けば目が合った。その瞳はとても忘れられない程冷たかった。


「私の名はミザエル」


突然彼は何を思ったのか名を名乗った。ミザエルとやらは膝を曲げしゃがみこむと再び顔を近づけてきた。思わず目を瞑ると何もされなくて、ただ耳元に吐息がかかり低い声で囁かれた。


「私を憎め」


何がなんだかわからなかった。しかし、直ぐに合点がいった。服に手をかけられたからだ。ああ、唇だけじゃなかったのね。私は抵抗もなくただされるがままだった。絶対いつか復讐してやる、と誓って他には何も考えず唇を固く結びずっとミザエルを睨むことしか今の私にはできなかった。









闇に墜ちいる




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