銀時×沖田
両端から眼鏡とチャイナに囲まれて笑っているのは先日俺の恋人になった万事屋の旦那。
俺がいつも通り町を偵察(という名のサボり)をしていたところに大手のスーパーに旦那を発見した。恋人になったばかりだからちょっと浮かれていて、両隣の存在に気がつかなかった。
「銀ちゃん、酢昆布足りないアルよ」
「酢昆布なんて食って吐いてを繰り返したって味変わんねえんだから、本当は1箱でいいんだぞ?優しい銀さんは3箱もかってあげてるけど」
「台詞長いアル」
例えるなら、幸せな家庭。
鬱陶しいようなそぶりを見せるがそこまで嫌がっているようにはみえない。
眼鏡と一緒にカゴを持ちはたからみれば恋人のよう。
(俺は何を考えて…)
何と無くその場に居たくなくて俺は駆け出した。スーパーから出た瞬間土方コノヤローに見つかり、最悪だと思いながらも抵抗する気にもなれなくて仕方ないから素直に土方についていく。
(旦那は万事屋だし、顔も広いから分かってたはずだったんでィ…)
しかし、いざ目の前にするとやっぱり辛い。
「沖田君っ!」
後ろから急に腕を捕まれた。だけど俺はそんなことよりも声に驚いた。
「旦那…」
「ちょっと話そ、ってことで沖田君は貰ってくから」
「うわ、ちょっ旦那!?」
「万事屋てめっ」
追いかけてきたらしき旦那が俺の手を引き公園へ走り出した。後ろで叫ぶ土方の声や人目なんて気にせず、猛ダッシュ。
風を切り、旦那は走る。
こんなに走ったのは久しぶりで、息が荒れる。目の前の旦那の背中が嬉しくて少し赤くなる。
そして公園のベンチに座り込む。
無言な旦那、息を整える俺。
「沖田君さぁ、それ計算?」
「??なにがですかぃ?」
「だから、そうやって他の奴に可愛さ振り撒くの」
そういって旦那はキスをした。
後退り顔を赤くする俺をみて旦那は黒く笑った。急にキスされりゃ、誰だってこうなるだろぃ!!?
「だ、旦那こそ…」
「ん??」
「旦那こそ俺以外に優しさ振り撒くのやめてくだせぇ…!」
つい、本音がこぼれる。
言った後に気づき撤回しようとするがそれは許されなかった。
唇に旦那の唇。
またキスをされた。
今度なは深くて甘い、ディープキス。
零すのは甘い声。
「っ旦那…!?」
「ほら、そうやって沖田君は可愛さ振り撒くんだから」
ぎゅうっと強く抱きしめられた。手まで巻き込まれて抱き返せないのが、悔しい。
これからは俺以外に可愛い顔、見せちゃだめだよ?
可愛い声も、可愛い行動も駄目。
わかった?
あやすように言われて子供扱い?と思ったが、その分愛されてるってことでィ!
旦那も俺以外に優しくしちゃ駄目でさぁ。
甘い声も、その顔も駄目でさぁ。
わかりやしたかい?
10.07/01