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久しぶりの池袋での買い物途中で、珍しくビデオ屋に寄ってみたりした。
やっぱり目的は大人のヤツ。
卑猥な表紙に誘われつつ手を伸ばすが、脳内で表紙の子が帝人くんに変換されてしまう。

あー俺、もしかして欲求不満?
…かなり帝人くんに会いたくなってきた。目の前にあった黒髪ショートの女が表紙のをレジに持って行き、アダルトゾーンを抜けてボロアパートに足を向ける。

まぁ、会いたいなんて、無理なんだけどね。あの子一応高校生っぽいのだし忙しいし。
なんてちょっと乙女チックなことを考えながら街中をぶらりぶらぶら歩いていると神様の思し召しか、目の前には童顔な恋人。
もうこれは運命だよね。
ってことで、ちょっくら話かけようと思います。

「やぁ帝人くん」
「臨也さん」

臨也さんって響きいいよね。
なんか気をつかってるみたいじゃない?年下って感じがするし、俺好きだな。

「お疲れ。ところで、ちょっとイイものが手に入ったんだけど家こない?」
「すっごい怪しいので全力で断ります」

あれぇ。簡単にはオチてくれないってわけね。まァそのほうが俺以外に口説かれたときに安心なんだけどね。
でもそんな理由で俺の誘いを断るなんて、許すはずがないよねぇ?てなわけでちょっと犯罪走ってみようかなぁ。

「えー、しょうがないなぁ」

なぁんて、嘘なんだけどね。

「じゃあこれあげる、苺味の飴」
「え、あ…ありがとうございます」

ちょっとだけ顔赤くなっちゃって可愛いの。そのちょっとした純情さを利用してさ、今食べてなんて言ったら、はいって素直に食べちゃって。

帝人くん、幼いころちゃんと習わなかったの?紀田正臣くんから教わらなかったの?

オオカミからもらったリンゴは毒リンゴですよ、って。

ぐらりと俺の胸に倒れて混む。
実はその飴、直ぐ効く睡眠薬だったりするんだよねぇ。どこで手に入れたかって?
そんなの、企業秘密だよ。

俺の胸の中に眠る白雪姫を焦ってるふりして俺ん家までお姫様抱っこしていく。
池袋中の奴らに俺のものだー、って伝えること出来たし、一石二鳥だよね。はは。

人生初体験。俺、誘拐しちゃいました!まぁ、恋人なんだけどね。

手にぶら下がる紙袋とAVをにやりと笑いながら家に持ち帰る。
オタノシミはこれからってね。





10.08/06