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僕の胸に顔を押し付けて、離れないようにと両手で力強く抱きしめる。ソファーの柔らかさが有り難たい。
臨也さんはいつも、悲しくなったり辛いことがあるとこうなる。

「臨也さん?」
「………」

なにもいわずに、子供みたいに甘えてくるこの人も大好きで、頼られてるみたいで嬉しい…けど。

「流石に1時間このままはきついです」
「………」

今回は何かが違うような気がする。
たぶん…勘だけど、今臨也さんは泣いてる。声や表情にはだしてないし、涙もながしてないけど心で泣いてる。僕に何かできればいいんだけど…。
ただ、強く抱きしめ返すことしかできない自分が情けなさすぎる。

「臨也さん…大丈夫ですから」
「………」
「僕がついてますから」
「……なんで俺が悲しんでる理由がわかったの?」

慰めようと言葉をかけると小さな声で反応を見せる。あぁ、やっぱ泣いていた。少し、声が掠れていますよ臨也さん。

「わかりませんよ?でも…なにがあっても僕だけは側にいると伝えたかったんです」
「帝人君ってときどき本当に恥ずかしいよね」
「離しましょうか?」

離すきなんてないがちょっと脅してみる。

「させない」
「うっ、苦しいです臨也さんっ」
「苦しい位が調度いいんだよ!帝人君、好きだよ、愛してる。帝人君、ラブ!!…帝人君は?俺のこと愛してる?俺ね、すごく不安なんだ。一人の人間を特別に愛したことなんてないから、どうすればいいのかわからないんだ。…ねぇ、帝人君は俺のこと、愛してる?」

僕の目をじっとみつめる。
恥ずかしい。でも僕も目を逸らす気はなく、見つめ返して、言う。

「愛してます、よ。…っていうよりたかが高校生に愛を聞かないで下さい。それと僕も…こんなに人を好きになったことなんて一度もありませんよ」

本当の気持ちをさらけ出すと臨也さんは安心したのか少し力を弱めた。

この人は歪んでいる。
大勢の人を愛しているから大勢の人に愛されたいといっていた折原臨也はどこえ消えたのやら。
今は僕一人の心を独占したいと願ってやまないらしい。

だとしたら僕も相当歪んでいる、な。
そんな歪んだ人に心を独占させてしまったのだから。







やまなしおちなしいみなし
たまには男前な帝人だっていいじゃない!←

10.04/08