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 帝人が平和島さんちの弟です


帝人はちらりと窓の外を見た。ゴミ袋が風に流され宙を舞っている。木は今にも倒れてしまうかもしれないくらいに激しく揺られている。
暴風警報、暴風警報。今日は一日風が強いです。外出は控えて下さい、とニュースで流れているテレビに目を向け、はあ、と小さく溜息を吐いた。
仕事で忙しい兄達2人が一緒に来週休みがとれた、と教えてくれたのは先週のことで、今日は3人で買い物にでも行こうと計画したのは、つい一昨日のことだった。
帝人は今日が楽しみで、昨日は正臣と杏里に大丈夫?と心配されてしまったしだいだ。
それが今日の朝、出かけるな、と警告されてしまう。
あぁ…、今日は何をしよう。
兄、幽の車で行くことも出来るのだが、風の中での運転は危険なのでやめてほしいという僕ともう一人の兄、静雄の頼みで車は無しになった。
白いソファーに腰を下ろすと後ろから声がする。

「チッ、ついてねぇな…」

舌打ちを含んだ言葉は不機嫌を更に煽る。振り返ると平和島家長男の静兄がワイシャツ姿でたっていた。昨日疲れてそのまま寝てしまったのだろう。
そんな静兄は起きて早々、煙草を吸っている。
──本当イライラしてるんだなぁ。

「別に、車だしてもよかったのに」
「それはダメだ」「それはダメです」

平和島家次男の幽兄はシックな寝巻きを着こなし、流石アイドルー!!と叫びだしたくなった。
寝起きの目を擦りながら幽兄はさり気無く僕の隣に座る。

「この風じゃあ…今日はなしですよね?」
「あぁ、すまねえ。天気予報みときゃよかったな」
「ごめんね?帝人」
「謝ることないですよ!!」

明るく笑っていうものの、やっぱりちょっとまだ暗い気がする。身内は誤魔化せねえよ、帝人。
帝人が今日を楽しみにしてたことは誰にでも一目瞭然だ。それが前日ならまだしも当日に、しかも天気に邪魔されては気分を落とすのも仕方ないだろう。
──どうにかして帝人を元気付けたい。
幽と目だけで会話をする。

(なんかいい方法はねえのか)
(家にいてできることなんてたかが知れてるよ、兄さん)
(ん゙ー…)

二人して少し悩むと、幽は何かを思いついたようにポンと手をたたいた。
そして帝人の手をとりイケメンオーラをだだ漏れにして、聞いた。

「帝人、何か食べたいものはある?」
「え?」

唐突に聞き出した質問は、帝人がいつも俺たちにしているもので、俺は一瞬何を言っているんだ?と思ってしまった。

「今日は特別。帝人が俺たちのお兄ちゃんになってよ」
「幽兄…」
「幽兄じゃなくて、幽。ね、静雄?」

有無を言わせない目に静雄は首を縦に振った。
帝人が不安げにこちらを見てくるのでニカ、と笑ってよろしくな、兄ちゃんと頭を軽く叩くと帝人も釣られてにかりと笑う。

「つうか、俺が一番下かよ」
「いいじゃんたまには、ね帝人兄さん?」
「なんかくすぐったいですね幽にぃ…幽、静雄…?」

床を転げまわりたくなった。「兄」とつけない、所謂呼び捨てで呼ばれるとこんなにもくすぐったいものなのか、と頭を抱えた。
たまには、いいと思った。
たまには外に出ずにゆっくりと3人で休日を謳歌するのもいいと思った。

「ぼ、僕オムライスがたべたい、です!」
「了解、お兄ちゃん」

帝人を悲しませた強風に、感謝。

 
familiar様に提出!

うーん…幽くんの口調がよくわからない…
だが後悔はry

素敵企画ありがとうございました!

10.05/14