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軽い傷のついた手を足を顔を、手当てするのが唯一僕のできること。静雄さんの役に立てる、静雄さんが僕だけをみてくれるとき。それが僕の至福の時間。臨也さんと喧嘩するのは、静雄さんが怪我するし臨也さんにばっかかまっているから、嫌だ。でも、怪我を癒せるから…と我慢する。

今日も静雄さんは手と足と腹部に怪我をしてきた。軽い怪我は新羅さんに治してもらうまでもなく、応急措置のできる人程度で大丈夫なのだろう。
何故僕なのかは解らないが。
深入りしたらこの不安定な関係が壊れそうで、僕はただ静雄の怪我を手当てすることだけに専念した。
痛いはずの傷も静雄さんは表情一つ変えずに差し出してくる。僕は別に傷の手当てが上手いわけではないので、消毒をするときなどは特に痛いはずなのに、やっぱり表情を変えない。ずっとずっと無表情でたまに、笑うのだ。

手と足の傷は消毒をして、コットンを傷に合わせて、テープで止める。腹はテープだと剥がれてしまうので包帯でしっかりと止める。

「はい、手当て終わりましたよ」
「毎回毎回、すまねぇな帝人」
「そう思うなら、喧嘩の数を減らしてくださいよ。特に臨也さんとの喧嘩は。切り傷は怖いんですからね!」
「努力する…」

まあ、そう思う反面、やっぱりちょっとだけなら喧嘩してほしいんだけど、なんて考えてる自分は卑怯だろうか。
しゅんと下がる静雄の肩を見ていると本気で説教は出来ないし、する気もないのだが。

「まあでも、今回はだいぶ軽い怪我ですね。誰と喧嘩したんですか?」
「あ、あー…確かカツアゲをしようとしてた餓鬼だったかな?あれ、酔っ払った奴だったかも…?」
「もう忘れちゃったんですか!?」
「どうでもいいことは忘れる主義なんだ。気にするな」

いや、気になりますでしょう。臨也さんでは無かっただけマシだが、静雄さんを傷付けた相手くらい知っておきたいものだ。別に知ったところで僕にどうこう出来る問題ではないのだが。

「喧嘩、またしますか?」
「………?」

何を聞いてしまったのだろう。
静雄さんは喧嘩をしたくてしているわけではないのに。暴力が嫌いなのに。理不尽な人が嫌いなのに。僕は今、自ら喧嘩をしている、と思っていると静雄さんに勘違いされてしまった。訂正を早く訂正を。どんなに思っていても口に出さなければ伝わらない。こんなにも訂正を、と思っているのに口に出さないのは、やっぱり本気で思っているわけではないからだろうか。先程の質問の答えが気になるからだろうか。僕にはそれがわからないが、静雄さんに何か言ってほしいのは確かだ。

「…静雄さん」
「……する、かもな」
「…………」

あぁ、やっぱり聞くんじゃなかった。こんな空気にしたかったわけではない。もっと楽しくほのぼのしく静雄さんと話していたかったのだ。
悔いて、悔いて、黙っていると、静雄さんが喋り始める。

「帝人、俺お前に手当てしてもらうの好きだ。手ぇ暖けえし、ちょっと不器用だけど丁寧にやってくれるし。だから最近はこの力が嫌じゃなくなってきたんだ、たったそれだけのことで。ありがとな、帝人」

微笑むその顔は僕だけに向けられたものだった。この笑顔は僕だけが知っていたらいいのになんて夢物語を考えながら、僕と同じことを思っていたのが嬉しくて、口がすべりそうになった。

好きです。

大丈夫、口には出してはいない。

「僕も、静雄さんの傷手当てするの好きですよ」
「お、相思相愛ってやつか」

すみません、また口にをすべらすところでしたよ、好きですって。相思相愛って、恋人に使う四字述語ですよ、馬鹿。

あぁ、好きだなぁ、なんて思いながら気づかれない程度に近寄る。ちょっとずつでいいんだ。ちょっとずつ近づいていこう。僕が静雄さんが大事なくらい静雄さんも僕を大事に思ってくれたらいいな、なんて考える。

すみません、やっぱりどうしても、
好きです。









シズミカを愛してます。様に提出!

どうしてこうなった。CV.静ちゃん
違うんだ。
言い訳を聞いてくれはくれないか。
片思い帝人とか可愛いなっておもってしまったんだ許してくださいぃいい!←

読んでいただき
ありがとうございました!

10.05/27