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※家族パロ



うるさい。外から風と雨の音が、うるさくてしょうがない。
そういえば、今朝警報のニュースが流れていたな、と木も吹っ飛びそうな強さの暴雨と暴風の中を3階の窓から見る。
はあぁ、これでは帰るのが面倒臭いではないかと大きくため息をつく。
正臣はナンパにいってくるといい先に帰って、というか街に繰り出してしまい、杏里は急遽バイトがはいってしまい先程駆け足でていってしまった。
そんな杏里の背中をこの雨の中勇気あるな、と尊敬の眼差しを向けていた。

しかし、僕も早く帰らなければならない。何故なら今日はスーパーの安売り日だから。

(お金に困ってるわけじゃないんだけど…節約しといて損はないしね)

兄達の好物を思い出しながら、帝人は足を昇降口へと向ける。

(プリン何個買おうかな…あれ?そういえば今週の食費代いくらもらったけ?)

財布の中を確認すれば、諭吉が描かれている紙が何枚も入っていた。いやいや、兄さんたち!食費にこんな使わないからね?金銭感覚がおかしいから仕方がないか…。

心の中で独り言を呟いていると、ドン、と後ろから誰かにどつかれる。
予想はついているが、一応誰だと振り向けば似た顔が2つ。

「帝人さーんっ、今帰り?」
「共(一緒に帰りましょう)」

後輩のマイルちゃんとクルリちゃん。
青葉君のクラスメイトという経緯で知り合い、僕の兄、幽兄さんの大ファンということで仲良くなった。さらに親しくなった理由はマイルちゃんとクルリちゃんの兄、臨也さんと僕が不本意ながら知り合いだかららしい。
この2人は整った顔立ちも、性格の歪み方も兄譲りで、困ったものだ。

(可愛いんだけど…僕をからかうのが趣味なあたりが臨也さんに似ているからなあ…要注意だ)

「うん、いいよ」
「わーいっ!帝人さんと一緒に帰れる!!やっぱ可愛いなあ帝人さんはっお持ち帰りしちゃいたいよ!いい?お持ち帰りしちゃってもいい?」
「…黙(マイルうるさい)」
「ははっ」

でも臨也さんより断絶この2人のほうが和む。声を出して笑うと2人とも僕をじいっと凝視した。

「…どうしたの?」
「やっぱりうちの養子になればよかったのになあって!あ、今からでも遅くなよ?いつでも養子にきていいからね!」
「可(マイルのいうとおり)」「あはは…遠慮しておくね」

この2人+臨也さんの家…想像するだけでも、R18以上の世界にはいってしまいそうだ。その中で暮らしてみると考えるだけでも、少し頭が痛くなる。

「ところで帝人さん幽兄と静雄さんどっちが上手だった?」

唐突にされた質問を理解できないのは僕だけではないはずだ。上手?料理の話だろうか…。料理は2人共破滅的にヘタだが…、僕の家と折原家と昔からの馴染みらしいからそのくらい知っているだろう。
じゃあ…なんの話だ?

「なにが?」
「え?エッチが」
「……………!!?」

思考回路の停止から再開までの間には約10秒。いや、思考再開してもまだ意味がわからないのだが!!

「え…?!あ、えぇ!!?」

そんなのわかるわけがないと、答える代わりに顔を赤く染める。でもそれはただ質問の意味を理解していないものだと──していないのだが──思われ、隣を歩いていたマイルちゃんが急に後ろに回った。

「だから、こういうことだよ?」

制服の上から胸の辺りをきゅ、っと掴む。え…!?何してるのこの子!!僕に胸なんてありませんよっ!?

「やっ、マイルちゃんなにして…ッ」
「あれ〜?…まさか、幽兄にも静雄さんにも手だされてない…!!?」

何かを自己完結し、手を放すとまたわけのわからないことを一人で話だす。手をだすだのださないだのの前に、僕男だから!!兄弟だから!!

「幽兄にも静雄さんにも手をつけられていないってことは…まだ処女!!!?やったやったやったあ!ねぇねえクル姉処女だよ処女!私奪っちゃいたいよ!」
「…止……怒(やめなさい、怒るよ?)」
「うぅ…だって帝人さんが処女なのが意外だったから、つい」

もうだめだ…。2人のペースに巻き込まれていく。チラリと携帯の時計を確認すると後少しで17時になる。嵐は強くなるいっぽうで、外も暗くなって、まずいと感じはじめる。

「もうこんな時間だから帰ろう?マイルちゃん、クルリちゃん」
「あ!?あ、本当だ!!?」
「還、…危(かえろう、雨が危ない)」

そういうと僕達は昇降口に方向を転換する。外にでると風の音が更に激しく、帰る気を失えるものだった。だがしかし、やはり安売りは見逃せない。
──それじゃあ帰ろうか。
──プルルルルルル
僕が帰ろうと声をかけるのとマイルちゃんの携帯電話がなるのは、ほぼ同時だった。ピッ、と機械音をたてて通話ボタンを押す。

「もっしも〜し!マイルちゃんでーす、あっイザ兄!!…今から帰るところだよ?…うん、え!?やったやったあ!わかった、早く帰るね!」

またピッ、と音をたてて通話終了ボタンを押す。どうしたの?そう聞くとマイルちゃんは嬉しそうに話し始めた。

「今日ね今日ね、イザ兄が鍋やるんだって!だから新宿の家に帰ってこいって!」
「喜…(たのしみ)」
「あ!でも…帝人さんどうしよう…駅とは正反対だよね?」
「そうだねー…、スーパーも寄りたいし、途中まで一緒に帰ろうか?」
「むーう…残念だけど、そうする!」
「行(じゃあ、いこう)」

両手を二人に引っ張られ傘をさせないよ!というと、クルリちゃんがピンク色の可愛い傘を三人に傾け、これで大丈夫と笑う。
やっぱ可愛いな、と思っても二人の顔の後ろに臨也さんの影がうろついていて、どうしても純粋に可愛いと思えないのが残念だ。

少し、そう時間にたとえるとほんの少しでクルリちゃんとマイルちゃんと別れた。
バイバイと手を振る姿は普通の女の子、だ。
鞄から折り畳み傘を出し、少し寂しくなった両隣を見て嬉溜息をついた。

「雨の日も少しは悪くない、かな──うわあっ!!?」

車に水溜りの水をかけられるなんて、そんなベターなことがあるはずないだろう?だから心配していなかったんだ。自分が水をかけられるわけがない、と。
しかし自分の右側だけ塗れたズボンを見れば不運だ、と思うほかなかった。

「帝人、乗って」
「え?幽兄!?」
「驚いてねえで、早く乗れ。それ以上濡れると風引くぞ、帝人?」

運転席に幽兄助手席に静兄がいた。
シートが濡れちゃうよ?と断りたかったが、無理だった。
兄たちが迎えに来てくれるのは初めてで意外なことで、嬉しくて。
いいかもしれない。
たまには、こんな嵐の日もいいかもしれない。



風の強い日にしようとしたのだが、折原姉妹の方が出てたので番外編的な扱いでいいかなー、みたいな←
平和島兄弟がいいとこどりww
とかおもわないであげてくださiry

折原姉妹&帝人が大好きです
帝人と女の子のからみが大好きです

10.05/14