好きだ、好き、好き、スキ。
お前の笑顔も拗ねたように俯いた顔もいつもの無表情も。すべてが好きだ。
だから本田、そんな笑顔誰にも見せないでくれ。俺だけに見せてくれ。
独占欲が強い?あぁ、知ってるさ。俺が一番知っている。そして俺が一番困っている。
駄目なんだ、俺。お前が他の誰かと笑うたび、話すたび、心が締め付けられるんだ。わかってくれとはいわない。だけど…やっぱ、わかってほしいのかもしれないな。
わがままでごめんな?
それと、酷いやつで本当に、ごめん。
「好きだ、アルフレッド」
「…なにをいっているんだい、君は」
俺は知っている、お前がアルフレッドの事が好きなのを。
他のやつに向ける笑顔とは違うことを。可愛い笑顔で「アルフレッドさん」と呼ぶ声に好意がこもっていることを。
俺はお前が大好きだ。だから他のやつにとられたくない。嫌だ、嫌だ、絶対に…嫌だ。だから、お前を他のやつにとられるくらいなら…こんなことだってできてしまうんだ。
「だから好きだ、っていってんだろ?」
「想いを寄せている相手を向ける顔じゃないんだぞ、アーサー、鏡を見てくることをお勧めするよ」
はぁ、とため息をつくアルフレッド。
おい、こいつ、なんでこんなに落ち着いているんだ?こんな状況に慣れているやつなんか普通はいないだろう?
ソファー押し倒してる状態で、下にアルフレッド、上に俺。
いつでも犯せるこの距離で、ため息なんてついてんだ?
「元からこの顔だ、悪かったな、美形じゃなくて」
「本当、鏡を見てきなよ」
「っんだと!?」
呆れた、と顔を潜めた。
こっちのほうが呆れるわ。
本田、よくこんなやつに惚れられたな…。
「アーサーは美形だし、料理ヘタだし、ツンデレだし、酔うと最悪だし、エロいし、元ヤンだし…最悪だけど」
「おいちょっと待て、美形のどこが最悪なんだ」
「でも、」
どうやら話を聞く気は無いらしい。
すっ、と笑ってまた口を開いた。
「でも君は想いを寄せる相手にそんな悲しい顔をする人じゃない」
ばか、と無邪気に笑う。
「お前っ、…お前になにがわかるっ」
罪悪感で…心が苦しい。
なんでそんなこというんだ。やめろ、やめてくれっ。
「わかるよ、君のそばにずっといたんだぞ!?それに俺は恋のHERO☆だからねっ!!」
「それをいうなら恋のキューピッドだ」
前半の言葉に感動しかけた俺が馬鹿だった…。でもこれなら本田が惚れる理由もわかる。俺とは大違いだ。
「ほら、アーサー」
「あん?」
「行かなきゃだぞ!!」
「は?何いってんだお前」
「だって君、本田のことが好きなんだろ?だったら告白しに行くべきじゃないか!!」
ポカーン、と音がするほど口を大きく開いた。みるみる顔が赤くなっていくのが自分でもわかる。
「な、ななん、でお前…知って!」
舌が上手くまわらず噛みまくる。なんで知ってんだこいつっ!!!俺はこの想いを他人に打ち明けた覚えはなし、気付かれるようなミスもしていないはず…。なのになんで…!?
「いっただろう?俺はHERO!!さ。わからないことはないんだよ!!」
HAHAHAと声をあげて笑う。
さっと起き上がり、かるく俺を退けて起き上がった。
「ほら、思い立ったら吉日、本田の言葉だよ!」
「お、おぅ…?」って!!急すぎねぇか!?
それにあいつはお前のことが好きで…、それは変えようがなくって…。くそっ、どーすりゃいいんだ俺!
「大丈夫だよアーサー、俺が保証する!君は絶対結ばれるね!!」
…なんていわれたら、告りに行かないわけにはいかないじゃないか。
満面の笑みのアルフレッドを背に俺は空港に走り出した。
…行ってきます!!
I'd do anything for you
菊、俺はお前のためだったらなんでもするぞっ!!
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