拍手感謝!!
-伊食満ほのぼの-
ある日、ふと留三郎が僕に言った。
「なあ温泉に行かないか。」
別に行きたくないわけじゃなかった。
でもそういう雰囲気な訳でもなかった。
いや、留三郎から誘って貰えるなんて思わなかったけどね。
やましい考えはないからね!?
「別にいいけど、どうしたの急に。」
僕は教科書を広げる留三郎を眺め見た。
就寝前だから髪を下ろしている。
もちろん僕も。
「お前いつもいつも委員会で大変だろう?その苦労は俺にも分かるからさ。」
僕はびっくりした。
まさかこんなことを言ってくれるなんてなあ…。
「お前、なんか変なこと考えてるだろ。」
感銘を受けているとこの一言だ。
雰囲気を読んでくれよ留三郎。
でも事実だ。
僕は曖昧に言葉を濁して布団に潜り込んだ。
留三郎はやれやれと呟くと読んでいた教科書をパタンと閉じた。
「出来るだけ早く行きたんだが、いつがいい?まあ一泊だけだがな。」
「一泊でも十分さ。留三郎と一緒に行けるのなら。」
留三郎は布団に入る。
「でもそれって今の状況と変わらないだろう?同室だしな。」
「まあそれはそうだね。」
僕は留三郎とは反対側に寝返りをうつ。布団が擦れる音で留三郎も逆を向いたということがわかる。
「おやすみ留三郎。」
「おやすみ伊作。」
僕は自分の頬が緩むのが分かった。
何かありましたら御気軽にどうぞ!
感想をいただけたら励みになります
home