< ! > 標的364のねたばれ要素含みます。
   ついでに雲雀が若干やんでれてます。







次の授業英語だよ、楽しみ。


応接室で日誌を付けていたら廊下からそんな話し声がした。
授業に意欲を持って望むのは良い事だと、その程度に考えていたら、
通り過ぎる女子生徒たちは一層声を高くした。


ディーノ先生ほんとかっこいいよね。
あの金髪、さらさらで超綺麗。
彼女とか居るのかな。


徐々に遠ざかる話し声を耳に留める。
2年生の新任英語教師。イタリアから来た噂の先生。聖職にあるまじき墨入り。
馬鹿みたい。
イタリア人のくせに英語なんて、
そもそもあの教員免許、絶対偽造だろ。
赤ん坊の考えだからって学校の先生ってどうなの、
家庭教師だったんじゃなかったの。
僕の家庭教師だったんじゃなかったの。
気付いたら日誌のページが鉛筆でぐちゃぐちゃになっていた、
ページを破ってごみ箱に放る。

違う。違うよ。
あの人はへなちょこでちっとも格好なんてついてない。
金髪はさらさら、と言うよりもふわふわに近い。
彼女は居ない。そんなものあの人には必要無い。
だって僕が居る。

みしりと亀裂の入った鉛筆もごみ箱に放る。
時計を見る。職員会議はまだ終わらないのか。
前よりずっと近くに居る。同じ経度の同じ時間を過ごしていられる。
でもあの人が貧弱な群生動物たちの目に晒されるのは嫌で仕様が無い。
どいつもこいつも、汚い色目であの人の事を見る。
あの人はそれに平等に笑顔を返す。
綺麗に張り付いた教師面を叩き潰してやりたい。
卑しくあの人に近寄る草食動物なんてみんな僕が咬み殺してやる。
あの人の視界に映り込んだ奴から順に殺してやる。
邪魔だ。みんな邪魔だよ。
僕とあの人のあいだに立たないで。

ねぇ早くいつもみたいに応接室まで迎えに来て。
それでいつもみたいに優しい笑顔と声で僕の名を呼んで。
僕以外には誰ひとりにも、その笑顔も声もあげたりしないで。
あなたは僕だけのものなのに。




 オ ン リ ー マ イ ン 、 ビ ー マ イ ン 。         









111212.



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