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chapter 5:養護教諭x保健委員長




雪でも降れば話は別だが、冬のあいだでも保健室の空調は原則切られている。
体調不良の生徒が居る時ならまだしも、そもそも空調の効き過ぎた部屋のが却って体調も崩しやすいものだ。
外では冷たい風が痩せた木にしがみつく僅かな枯れ葉を揺さぶっているが、
きちんと窓を閉めれば室内にその影響は及ばないし、なんと言ってもこの部屋には暖かい布団がある。
心地良く昼寝をしていた僕を起こしたのは、おい、というあまりに無粋な一言だった。


「なにしてんだ」


目を開けずともわかった声の正体に、だから寝返りを打ってわざと顔を枕に埋める。
しかしそれで見逃してくれるはずも無く、肩を掴まれて起こされた。


「こら、雲雀。保健委員長がさぼりで昼寝ってどういう事だ」

「……いつもの事だろ…」

「開き直るなよ。ほら、起きた起きた」


そう言うと彼は――養護教諭のディーノ先生は、僕を執務机の脇に置かれた丸椅子に追いやって、僕が皺をつけたシーツを手早く整えた。
中途半端に広がっていた区切りのカーテンもレールの隅に集めて、すっかり元通りにすると彼は僕を見やる。


「お前、今授業中だろ」

「大丈夫、謎の目眩がするって事になってる」

「いつもそうやって嘘吐いて出てきてるだろ。お前超病弱だと思われてるぞ」

「僕は強いよ」


事実、喧嘩で負けた事は無かった、
なんならこの一帯に名を馳せる程度には強いという自覚もある。
それでも毎度無傷でいられるかというとそういうわけにもいかず、
いつも体中に傷を創ってくる僕を呆れながらも診てくれているのがこの人だった。
ディーノ先生はあからさまに溜息を吐きながら、いつもの諭すような口調で言った。


「もう喧嘩はやめろって、何回も言ってるだろ」

「やめたよ。でも、向こうから来たらどうしようも無い」

「そん時は俺呼べ。俺がそいつらと、平和的に話し合いで決着つけるから」

「あなたを呼んでるあいだに、勝てるよ」


だから駄目だって、と呆れ気味に言いながら、髪をぐしゃぐしゃと撫でられた。
事務机の回転椅子にディーノ先生は腰掛けた。ほとんど僕と変わらない目線の高さで、黒縁の眼鏡をくいと持ち上げる。


「先生もお前くらいの頃はやんちゃしてたけどな、そんなんで得られるものなんて無ぇよ。怪我が増えて、不良のレッテル張られるだけだ」

「だから、もう僕からは仕掛けたりしてないよ」

「…んー、だったらまぁ良いけど、…いや、良かねぇけど、」


なんの気無しに、褒めてよ、と言ってみた。
すると先程乱した髪を丁寧に梳かれて、からかっているだけなんだろうけど予想以上に褒められて照れた。

どこも悪くないし、強いて言えばそんなに眠たいわけでもない。
それでも嘘を吐いてまで保健室に通ってしまうのは、きっとこの人に会いたいからだ。
最初こそ、金髪で見るからにちゃらちゃらしたその容姿に反抗し、
こんな奴に治療などされるものかと全力で拒否していた。
だけどこの人は僕がどんな理由でつけてきた傷でもすべてちゃんと診てくれたし、
天の邪鬼な僕の性格にもめげずにきちんと叱ってくれた。
いつからか、この人の纏う空気に惹かれている自分が居た。

ふと見れば、ディーノ先生は予備の包帯をくるくる、まとめていた。その手付きをじっと眺める。
長い細い綺麗な指が、白い薄い包帯を絡めて離れて繰って、まるで踊るように巻き取っていく。
ぴたりと留められて救急箱に収められた様は、何故だか途轍も無く美しくさえ見えた。


「…雲雀?」

「――ぇ、」


急に声を掛けられて驚いた。不思議そうに僕を眺めている彼に、慌てて視線を合わせる。
どうやらなにか話しかけられていた事に、僕が気付いてなかったみたいだ。


「お前、もしかしてまじでどっか悪いのか?」

「なんで、」

「ぼーっとしてるし。なんか顔も赤いぞ」


熱でもあるのか、なんて言って端正な顔を平然と近付けてくる。
額に当てられた大きな手の方が僕にはずっと熱く感じられて、耳まで赤くなっている自信があった。


「…ぁ、」

「ん?」

「なんか急に、授業受けたくなったから、もう行く」


僕の妙な言い訳も特に気にした風でもなく、そうか、とあなたは手を離した。
ほっとしたような、名残惜しいような。
そわそわと落ち着かない心臓を叱責しながら、立ち上がる。


「さぼり以外なら、いつでもおいで」


扉に手を掛けた僕に彼は言う。
思わず振り返ると、弱い逆光の中に居る彼が微笑む。またな、なんて。
…そんな事を言われたら、また目眩がしちゃうじゃないか。






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