愛していた、と
前にさえ出ねば、私が守ってやるものを
雨の中ひとり、佇む影
現実、彼方に思いを馳せる
愛していた、と
それは、過去を表わす言葉であった
始まりは何もない、ただ空
響く声と、耐えない笑みと
そのむこうに、一人
近づいて、引き込まれた
馬鹿なことだ、無様なことだ
唐突に、ある日全てが壊れた
消えた温度、空回る笑顔
そしていつしか、独り
持ち込まれた数の概念、二人
偽悪を覚え、自衛過剰
偽善に出会い、覚えた劣等感
だが再び唐突に、壊される
一人と独り。そこに私はいなかった
狂い、走って部品をこぼす
これを守るべきは私であったのだ、と

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