Clap
ありがとうございました。


ジュナカル
末っ子気質というか…どちらかと言うと兄ではなく弟気質…?猫気質?
相手の都合を適度に無視して構ってあっぴるしてにゃんこ



「何を読んでいる?」
随分と熱心に読み耽っている
この部屋に存在するのは間隔揃いの紙を捲る音と僅かな呼吸の音だけ
耳を澄ませば鼓動の音すら聞こえてくるのではないかと思えるほどの静寂
元より返答に期待はしていないが反応が無いというのも面白くない
骨の浮いた白い手は尚も字を掬い紙を捲り、目は一度足りともこちらを向きはせず
それ程面白いのか、下から本の拍子を覗き込めば綺麗な装丁に紙ではない材質のカバー
題名には金の箔を押した…外国語の本らしい
一段落するまで読んでいるつもりか、この兄はどうも一度熱中すると中々戻ってこない
…それでも、私は退屈なのだ
暇をつぶす為にまずは彼の顔を凝視する
それはもう、穴が開くほど
改めて美しい造形をしていると思う
肌は白磁、目は宝石、唇は僅かに色を帯び結ばれている
男性らしさのある喉仏や浮いた鎖骨、薄い胸板が体に合ったTシャツのせいでどうも際立


七部袖から覗く血管が浮く腕も男性のものなのに、何故か全体像は無性別のようにどち

らかへの偏りも無くしてみせるのは一体どういう造りをしているのか
無心にページを捲る指先、爪は四角い
あの手はあれで中々触り心地が良いのを知っている
肉刺が残る皮膚は硬く温かいのだ
汗ばむあの手を強引に握り底しれぬ快楽に恐れてみる己の兄の姿を思い出しつい生唾を

飲み込んだ
…此方に見向きもしないのが悪い
肩へ頭をぶつけ横に押すと僅かに、笑う声が聞こえた
「………」
「ご機嫌斜めだな、アルジュナ。珍しく落ち着きが無いぞ」
「わざとか」
「何の話だ? ほら、そう不貞腐れてくれるな」
下手な誘いだ
私の膝の上に手を添え重心を傾けたカルナ
本は既に閉じられあの眼は私を見ている
彼を夢中にさせられるのは私だけ、私が夢中になってしまうのは――





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