■TOY BOX!(ライハレ)
ライハレがごっこ遊びでにゃんにゃんする話。
執事ごっこ、総帥ごっこその他。ほんのりシリアス要素も有。
恋愛ではないですがハレ→アレ、ライル→ニールです。エロ多め。


表紙:さきさま


Piece1(執事ごっこ)


「今日は俺様だ」
「いや、違うな。俺だ」
ごく普通の、少しだけ高級な広々としたマンションの一室の空気は張りつめていた。銃弾の音くらい聞こえてもおかしくはないような、それだけで人を切り裂くことができそうな空気の色だ。低く潜められた声が二つ。
「じゃんけん、ぽんっ」
声が重なり、白い手が手のひらを広げてパーを出し、もう一方の手が拳を作ってグーを出した。
「俺の勝ちだな」
「テメェ、今後出ししただろ?」
「今日も下になりたいからわざと負けたんだろ?」
今にも殴りかかってきそうなハレルヤを目の前にしてライルはにやにやと下卑た笑いを浮かべた。
「ふざけんな」
いよいよ殴りかかってきたハレルヤの拳を何とか受け止める。怒らせるとグーを出すというのはなかなかに正しいらしい。じゃんけんでハレルヤを負かしたところで本当にそのままおとなしくハレルヤが引くとも思っていなかったが。
「じゃあもう一勝負するか?」
ライルは軽い調子でハレルヤに提案した。
「勝負?」
「あぁ。次の勝負で勝った方が今日は下。んで、負けた方は明日も勝った方の言うことを聞く」
さりげなく条件を付け加える。ハレルヤは絶対勝負に乗ってくるだろうし、ライルには勝算があった。
「何で勝負すんだよ? それがわからないのに誰が乗るか」
「先にイった方が負け、イかせた方が勝ち」
「乗った。テメェの早漏はよく知ってるしな?」
ハレルヤ可愛すぎるだろお前。


「俺の勝ちだな」
はぁはぁ、と荒く息をするハレルヤはベッドヘッドに凭れていた。ライルの右手にはハレルヤが吐き出した白濁がべっとり付いている。
「テメェ、ずる……」
「何が?」
「っ、はぁ……俺、が……左手でする方が上手い、の知ってて右手使わせた、だろ……」
ハレルヤは左手の方が器用、と。脳内の絶対忘れてはいけない事項の欄にメモをする。
「じゃあ次は左手でしごいてくれよ。口、開けろって」
力が抜けてどこかぼんやりしているハレルヤはライルの言葉に素直に従って口を開けた。
「舐めろ」
ハレルヤの右手で散々いじられて先走りに塗れた性器をハレルヤの唇にあてがう。湿った息がかかる。ん、と微かな声がして嫌そうに舌が伸びてきて舌が亀頭をつついた瞬間、びゅくりと勢いよく射精した。ハレルヤの顔に白濁が散る。
「ゆるさねぇ……まずい」
ハレルヤはつぅ、と頬から垂れて唇にかかった白濁を舐めとって顔をしかめた。それでも吐き出さず飲み込んだようだ。周りを見てティッシュが見つからなかったのかハレルヤは舌打ちして顔中を手で拭い始めた。一通り拭ってから丁寧に舐め始める。ごつごつして骨張った指を一本一本、口に含んでは精液を舐めとっていく。ハレルヤの唾液がとろりとこぼれて手首の方へ伝っていく。舌は繊細に動いて、手のひらの皺に入り込んだ白濁も逃さなかった。息子がまた元気に目を覚ましちまいそうだ。



intermission2(おもちゃやめぐりと忘れ物)


「なぁハレルヤ」
「あー?」
朝、トーストだけの簡単な食事を終え、ソファでごろごろし大して興味のないファッション誌にぼんやり目を通しながら緩慢に時間を過ごしていると、いつの間にかリビングに入ってきていた同居人に声を掛けられた。
「ん? てめぇ仕事サボりかよ」
壁に掛かっている時計はいつもならライルが出かけている時間をとっくに過ぎた時間を指している。そういえばライルがなかなか起きてこないと思っていた。
「今日は久々に休みが取れてね。出かけねぇか?」
「誰が野郎とデートなんざ」
「たまには良いだろ」
ライルは濃い緑のカットソーにジーンズというラフな格好をしていた。どこか特別なところに行くというわけでもないのだろう。
「ケーキ買ってやるからさ」
「……仕方ねェな」
いつもケーキくらい自分で買っているが、たまには高いケーキを奢らせるのも悪くない。ハレルヤはオレンジのタンクトップを着て濃い紺色のハーフパンツを穿き、財布は持たなかった。財布はライルで十分だ。


「で、どこに行くんだよ」
ライルお気に入りの車ではなく、電車だ。ハレルヤはドアに寄りかかり、ライルはおざなりな感じで吊革に掴まっている。
「おもちゃ屋」
賑やかでたくさんの店のある駅で電車が止まり、ライルが降りていくのについてハレルヤも降りた。太陽に肌をじりじりと焼かれる。
「おもちゃ屋?」
いつものライルの行動を考えるならば、しかも楽しそうなライルの表情を鑑みるに、その行き先がいかがわしい場所であってもおかしくない。いつだか誕生日プレゼントだとか言って「大人のおもちゃ」一式を与えられたこともあったような。
「どこ行くんだよ」
「だからおもちゃ屋だって」
ライルは裏通りに入る様子もなく表の、親子連れが歩いているような通りを進んでいく。いつどの店に連れ込まれるのかと、ハレルヤは何食わぬ顔でひっそり辺りの店を伺った。いつどんな気の違った店に連れて行かれても驚かない自信がある。鼻歌でも歌い出しそうに上機嫌なライルの半歩後ろを歩いていると、突然手首を掴まれ腕を引かれた。
「暑苦しい……」
「たまには良いだろ」
腕を肩に回され、ハレルヤは両腕を垂らしたままで、仲の良い親友か酔っ払いみたいに並んで歩く。ライルとハレルヤが歩く方向にある一件の店から幼い、五歳くらいの子供が二人出てきてライルとハレルヤの方へ走ってくる。ハレルヤは二人がおいかけっこをするように道を走っていくのを目を細めて眺めた。二人のやんちゃ盛りの男児の後ろでは母親と思われる女が走っちゃだめよとやる気なく叱りながらにこやかに笑っている。二人の子供は朝にでもやっているのだろう特撮もののキャラクターであると思われる人形を手に持っていた。先を行く子供が怪獣みたいな何かを持ってガオーと言いながら走り、追いかける子供は待てーと言いながら赤いスーツのようなものを着た人形を持っている。それはきっとヒーローなのだ。



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -