special experiments


アレティエ







アレルヤはいつものようにティエリアの部屋を訪れていた。二人で並んでベッドに座り、コーヒーを啜りながらアレルヤが他愛のない話を振り、ティエリアが返答する。夕食後のひと時をまったりと過ごすのが慌しい日常の中の癒しなのだ。
だが、今日は少しティエリアの様子がおかしい。
「……どうしたの?」
ティエリアはしきりに手を首に当てては落ち着かない様子だ。そわそわと腰を浮かしたり、首筋を撫でたり。
「別に」
訊ねるとティエリアはふいと顔を逸らし、澄ましている。強気でプライドの高い彼は何も知られたくないのだろうけれど。
「溜まってる?」
「馬鹿を言うな」
不意に顔を耳元に近付け熱く囁くとティエリアは即答。
「じゃあどうしたの? 腰とかもぞもぞさせて、落ち着かないみたいだけど」
誤解を解かないわけにもいかないと思ったのだろう、ティエリアはむすっと俯いた。
「……痒い」
「へ?」
「少し、痒いだけだっ」
先程までティエリアが手を当てていた場所を見てみると、うっすらと赤くなり腫れている。
「虫に刺されたの? 珍しいね」
宇宙にある施設は環境が人工的に作られていることが多く、害のある虫は殆どいない。宇宙育ちの彼は虫に刺された経験が少ないのだろう。どこか苛立っているのにも頷ける。
「ねぇ、ティエリア」
「何だ」
にこりと微笑むアレルヤに不吉なものを感じたのか、ティエリアはアレルヤから逃げるように上体を反らした。
「虫刺されって痒いよね」
「……そうだな」
「早く治す方法、知ってる?」
アレルヤの言葉にティエリアがぴくりと眉を跳ねさせた。誰だって長い間不快な状態ではいたくない。
「どうすればいい?」
興味を持ったのかおずおずと聞いてきたティエリアの頭を撫でてやる。
「教えて欲しい?」
「……別に」
意地の悪い問いかけにティエリアの瞳が不機嫌に揺らぐ。
「いじけないで?」
ちゅ、と額にキスを落とし、そのまま首筋まで唇を滑らせ、見つけた虫刺されの赤みを唇で撫でる。
「っ、くすぐった……」
じろりと睨まれるのも気にせず、舌先でちろちろと舐めればティエリアがぴくと震えた。
「何を……っ」
「何って、治療だよ? 虫刺されには唾液が良いんだって。それとも……感じちゃった?」
「なっ」
口をぱくぱくさせ頬を赤く染める様子を見れば、図星だ。
「でも、ね。治療だから我慢して?」
膨れたそこを執拗にくすぐるようにしながらぴちゃぴちゃと音を立てて舐め、悪化させないように気をつけながら小さく吸い上げる。
「ん……」
鼻にかかった甘い声に居てもたってもいられず、カーディガンのボタンを外して脱がせ、シャツを肌蹴させる。
「アレルヤ?」
「予防もしておいたほうがいいかなって思って」
ティエリアを勢いよくベッドに押し倒し、シャツを捲り上げると見えた小さな臍の窪みをちろちろと舐める。
「そ、んなとこ、刺されない」
「わからないでしょ? ティエリアっておいしそうだから」
「僕のことをそんな風に言うのはお前だけだ」
ティエリアが身を捩って逃げようとするがしっかりと腰を押さえつける。薄い腹を舐め上げて辿り着いた胸の色づきを唇で挟んだ。
「っあ、やめ……んっ」
「ここ、赤くなってて虫刺されみたい」
「違っ……あ、ふ……」
右の粒をねっとりと舐め、同時に左側を指先で捏ねる。それだけでティエリアの細い身体はびくりと跳ねた。
「や、だ……」
「なんで? 感じてるのに?」
すぐに硬くなって尖り始めたそこの周りをくるくると舌先で舐めてから思い切り吸い上げる。
「ひぁ、ん……」
ティエリアが背を反らす。敏感すぎる反応に、アレルヤはくすくすと笑った。
「ここだけでもイけそうだね」
「そ、んなわけなっ……あっ」
少し強めに噛んでやればうっとりとした表情で目を瞑り、必死に声を抑えているようだ。親指で唇を撫でて声を出すように促してやりながら口を離した。ぷっくりと鮮やかに赤く腫れるようになったそこに口づけし、硬くなり始めている反対の粒を舐めた。
「こっちも、気持ち良い?」
頂をころころと舌で転がし、つんと立った右側は指をすり合わせるようにして刺激してやるとびくりと腰が跳ねた。
「やっぱり胸だけでもイけるんじゃない? だってほら、もうこんなになってる」
下半身に手を伸ばし、いつの間にかズボンの布を押し上げているそこをそっとなぞってやるとティエリアはもどかしげに腿を摺り寄せた。
「ば、か。無理言うな……」
「無理かなぁ……」
アレルヤがしゅんとうなだれて残念そうに言うと、ティエリアの白い手が伸びてきてアレルヤの頬を撫でた。
「そ、んな顔をするな」
「じゃ、じゃあさ、ちょっとだけ試してもいい?」
途端に表情を明るくして見つめると、ティエリアは対照的に怯えた表情を浮かべた。
「そ、れとこれは話が別……」
「ちょっと試すだけだから、ね?」
首を傾げて縋るように見つめればティエリアはアレルヤの頭を掻き抱いた。それを肯定ととり、額に唇を落としてから再び胸元に顔を埋める。
「やっぱり君は優しいね」
左の粒をちぅと吸い上げる。全体を上下の唇で挟んで膨らむようにしてやってから盛り上がったそこをくちゅくちゅと舐めた。
「ん、ッ……」
抑えた声も可愛いけれど、もっと聞きたい。尖りを舌で押しつぶすようにしてやりながら右の粒も弄ってやる。唾液のぬめりを借りて掠めるようにゆるゆると撫でてやる。それでも頑固に声を上げようとはしないことに苦笑して、左側をかりっと強めに噛んだ。
「っん、あ、あっ……っ」
ティエリアが背中を反らす。浮いた胸のせいで尖ったそこもまた口に押し付けられる。
「気持ち良い?」
少しだけ口を離して上目遣いにティエリアの表情を伺う。ティエリアはいやいやと首を横に振っていた。
「そ、こで喋るなっ」
「息がかかるのも気持ち良い?」
ふぅっと息を吹きかけてやる。唾液に塗れてぷっくりと艶やかなそこがひくと震えた。
「ここ、こんなに赤くして女の子みたい」
「ち、がっ……」
少し拗ねたような声が抜群に可愛い。
「わかってる。ティエリアは男の子だよね、勃ってる」
くすくすと笑って、ズボンの中で窮屈そうにしている下肢の膨らみを撫でてやる。
「や、ぁ……」
「きつい? 開けてあげる」
ジッパーをゆっくりとおろす。じぃという僅かな音と微かな振動にティエリアは内腿をひくつかせた。
「これでも感じちゃうの?」
わざと焦れったいほどの速度でおろし、ズボンをずらしてやる。下着は既に色を変えていた。
「染み作っちゃって……ティエリアは本当に感じやすいね」
右の粒を指先で小さく揺らすように刺激してやると下着の染みがじんわりと広がる。その様子に満足して親指と人差し指で乳首を摘み、捻るように捏ねる。
「ひあぁっ、や、めろ……」
「そう、残念」
強く刺激するのをやめてやわやわと指先で掠める程度に留める。舌では臍の浅い窪みをねっとりと舐めた。そこに溜まった唾液を音を立てて啜り上げる。
「っは……」
切ない声を上げてティエリアが身を捩った。アレルヤの前髪が柔肌を擽る。紫の髪がシーツと擦れてさわさわと微かな音を立てた。もどかしい刺激に耐えられないのかティエリアは乳首をアレルヤの手に押し付けてきた。
「言わないとわかんないよ?」
高潔な精神は恥辱を嫌う。だがそれ以上に、ティエリアは快感に弱い。
「もっ、と触って……?」
震える声で強請られれば腰がずくりと重くなった。だがそれを表情には出さず、涼しげに更に問い質す。
「どこを?」
「こ、こ……」
口に出したくないのか、右の色付きをますます押し付け、擦り付けてくる。それがますますアレルヤを煽るということをティエリアは知らない。
「いいよ」
押し付けられた乳首を指先でぴんと弾いてやり、左側の頂にちゅ、と口づける。
「あぁっ!」
びくっと腰を跳ねさせたティエリアは、続いて丸みを帯びた柔らかい尻をシーツに擦り付ける。シーツに深い皺が寄った。
「どうしたの?」
聞かなくてもわかっていることをわざわざ訊ねる。ティエリアは泣きそうな表情でアレルヤの方を見た。
「き、つい……脱が、して」
下着の上からやわやわと揉んでやれば苦しそうな表情を見せる。
「んー、そんな顔されたら、仕方ないね。パンツ穿いたままイっちゃってぐしゃぐしゃになる所を見たかったんだけど……また今度、かな」
露骨な表現に顔を顰め、しかし下着をおろされれば解放感にティエリアの表情が緩む。待ち切れないとばかりにぱんぱんに貼った自身がまろび出てきた。
「可愛い、ティエリア。ひくひくしてる」
先端がくぱくぱと小さく口を開閉している。手にとってやればどくんと脈打って一段と質量を増している自身の、亀頭の色をじっくりと眺めた。視線を感じたのか、ティエリアは逃げようと腰を捻るように動かす。白く滑らかな腰が描く曲線が妙に淫らで生唾を飲み込んだ。膝の辺りに引っ掛かっているズボンと下着が邪魔で、取り去って遠くへ放り投げる。ばさりと床に落ちる音を意識の外で聞いた。
「もう痛くないから平気だよね」
胸に実っている瑞々しい二つの果実を見やる。つんと尖って美味しそうな右のそれをぱくりと口に含んだ。左側には手のひらを押し当て、滑らせるようにして粒を転がしてやる。手に当たるこりこりとした感触を楽しみながら、右をはむはむと唇で啄む。
「もっ、とぉ……」
どうしても肝心な刺激が足りないのだろう、ティエリアはぽろぽろと涙を零している。張り詰めた自身はずっとそのままで、達することができていない。先端からとろとろと透明な液を零すばかりだ。間近に見えている絶頂を求めてティエリアが乳首を手のひらと唇に押し付けてくる。
「あ、れるやぁ……」
「何?」
ティエリアの腰が浮いてゆらゆらと揺れている。反り返った自身が先走りに塗れて淫猥に光る。茎を伝い落ちた粘液は薄い茂みまで濡らしていた。
「やらしいね。胸だけでこんなにしちゃって」
「だ、って、君が……ッ」
「だーめ。人のせいにしない。感じてるのは君でしょ?」
悩ましげに薄く開いている唇を親指で撫でる。白い歯がちらりと覗いた。赤い舌がアレルヤの指ごと唇を舐める。涙の溜まった瞳を揺らし、アレルヤから顔を背けてから弱弱しく口を開いた。
「イ、きたい……僕、の、触って、くれ……」
とっくに紅潮していた頬を羞恥にますます赤くしながらティエリアが恥らう。果物みたいな頬にかぷりと優しく噛み付いた。
「今度からはもっとヤらしくおねだりしてね? 今日は許してあげる」
口から零れた唾液に淫らに照る唇にアレルヤのそれを重ねる。素直に口を開けたご褒美にと、舌を深く入れてやり舌根に絡め強く吸い上げる。上顎をぞろりと舐めてやれば恍惚とした表情で目を閉じているティエリアの長い睫毛がふるふると震えた。
「っ、ふぅ……」
下に溜まった唾液を啜って飲み込んでからキスを終える。つぅと糸を引いた唾液が途中で切れて垂れる。
うっすらと額に滲んだ汗で張り付いている前髪を鼻先で除けて口づけを降らせる。元凶の虫刺されの近くをちゅうと強く吸いながらティエリア自身に手を伸ばして強く扱いた。
「ひぃ、ん……あふ……」
だらしなく口を開けて唾液を零しながら喘ぐ。淫猥な表情に熱が腰に溜まる。上下に何度か扱いてから括れを指先でなぞる。先端を抉るように擦るとティエリアが戦慄いた。
「でちゃ……でちゃ、う……ッ」
「もう? 早いね」
揶揄するように笑うとティエリアが泣きそうに顔を歪める。
「泣かないで? すぐにイかせてあげる」
怖がらせないように頬や額に軽い口づけをたくさん落とし、首筋を何度も吸っては鬱血痕を残す。そのまま肌を掠めるようにして唇を滑らせ、辿り着いた胸の飾りを啄んだ。
「あぅ、……はっ、ん……」
先程まで散々弄っていたそこは腫れぼったく敏感になっていて、キスだけでティエリアが背を撓らせる。左をごりごりと転がし右を噛む。同時に自身を根元から先端へ強く扱き上げた。
「い……っ、あ、あぁぁっ」
一際大きな声で啼いて、自身から精液をどぴゅっと勢い良く吐き出した。どくどくと溢れた濃いそれがぱたぱたと腹に降る。腹に飛び散った白濁を人差し指で掬い、ティエリアの目の前で親指と擦り合わせるとぬちゃぬちゃと音がして、糸を引いた。視線を逸らして見ないようにしているティエリアににっこりと優しく笑いかける。
「胸でイけなかったね。お仕置きしなきゃ」
それがティエリアには残酷に響いたようで、ぱちぱちと目を瞬かせて怯えた表情を見せる。
「なっ……君は、試すだけって……」
「大体、こんなになっちゃった僕のはどうしてくれるの?」
ズボンの前を寛げ、赤黒くグロテスクに勃起した自身をティエリアに見せつける。唖然としているティエリアの唇を先端で突付いた。零れ始めていた先走りがティエリアの唇を濡らす。耳元に顔を近付け、触れるくらいの距離で熱く息を吐き、囁く。
「慰めて、くれるよね?」
ティエリアが欲に満ちた表情でこくりと頷いた。

夜はまだまだ続き――



翌朝。
「どうしたの? ティエリア。首、何箇所も赤いみたいだけど……」
スメラギに言われ、隣でにこにこと立っていたアレルヤが口を開く。
「あぁ、これは僕が……っ、いたっ。ティエリアっ? 何するの」
続きは脛を思い切り蹴られて遮られた。
「何でもない、スメラギ・李・ノリエガ。虫に刺されただけです」
「虫? 珍しいわね。部屋にいるなら薬か何か……」
「問題ない。酷く大きい虫だが、僕が今日中に退治するつもりだ」
「そう? それならいいけど」
にやりと笑んだティエリアにじろりと睨まれ、アレルヤはぞくりと身を震わせた。
「ちょ、っと? 虫ってひょっとして……」
「かなり性質が悪くて邪魔な虫だ」
「ふーん?」
スメラギがにやにやと笑う。
「行くぞ、アレルヤ・ハプティズム」
ティエリアはアレルヤに背を向けて歩き始める。
「ねぇ、ごめん、ごめんってば」
「何のことだ?」
「ティエリアぁ……」
泣きそう。



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