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「それじゃあ、俺はそろそろ帰る」
そう言った青年を見送るため、玄関先まで歩いて行く。
「なあ」
「ん?」
青年が靴を履きながらユキに話しかけた。
「お前の名前、まだ聞いてねぇんだけど」
「ああ……俺はユキ。生まれも育ちも日本な笠原ユキだよ。君は?」
ユキが青年に問いかける。
「俺はロヴィーノ・ヴァルガスだ」
「ヴァルガスくんか」
玄関の扉を開けて、外へ出る。上を見上げれば綺麗な空が広がっていた。
「じゃあな、ヴァルガスくん。機会があればまた会おう!」
「おう」
ロヴィーノが手を振り、ユキも手を振り返す。
そして、ロヴィーノが玄関先からは見えなくなったため、家に戻ろうと振り返ればジェシカが顔を覗かせていた。
「ユキちゃん、そろそろ朝食にしようか」
「うん、そうしよう。そう言えばまだ食べてなかったや」
ユキはまた、家の中に入っていった。
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