偽り王子にGrazie! | ナノ


  1-6


「それじゃあ、俺はそろそろ帰る」


 そう言った青年を見送るため、玄関先まで歩いて行く。


「なあ」

「ん?」


 青年が靴を履きながらユキに話しかけた。


「お前の名前、まだ聞いてねぇんだけど」

「ああ……俺はユキ。生まれも育ちも日本な笠原ユキだよ。君は?」


 ユキが青年に問いかける。


「俺はロヴィーノ・ヴァルガスだ」

「ヴァルガスくんか」


 玄関の扉を開けて、外へ出る。上を見上げれば綺麗な空が広がっていた。


「じゃあな、ヴァルガスくん。機会があればまた会おう!」

「おう」


 ロヴィーノが手を振り、ユキも手を振り返す。

 そして、ロヴィーノが玄関先からは見えなくなったため、家に戻ろうと振り返ればジェシカが顔を覗かせていた。


「ユキちゃん、そろそろ朝食にしようか」

「うん、そうしよう。そう言えばまだ食べてなかったや」


 ユキはまた、家の中に入っていった。

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