自分のものよりも小さくて細いその指と、自身の指をそっとからめる。まだ少し肌寒いのか、小さく震えているその指を暖めるように、強く、それでいて優しく握ってやる。
 ふと、顔を上げれば、オリーブ色の瞳と目が合った。彼女もこちらを見ていたらしい。外から差す月の光が反射しているのか、きらきらと星のように輝くその瞳は、とても美しく、目を惹かれた。その中に自分が映っていると気付くと、自身の顔が火照っていくのが自分でもすぐにわかった。

「……いい、よな?」
「…………うん、いいわよ」

 おずおずと問いかければ、少し間を開けて返事が返ってくる。それはひどくか細く、今にも壊れそうだったけれど。どこかあたたかさも感じた。
 絡めたままの指とは反対の手で彼女の頬に手を添えて、俺は顔を近付ける。

 ―――それは、夕立が過ぎ去った少し後のこと。


【夕立の向こう側】

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