メイビー・レイディー | ナノ
錆び付いた鼓動がひとつ

「まりあちゃん、ゆきちゃん、わたし、竜に嫌われたかもしれない〜!」

二人の顔を見るなり一気に涙が零れ落ちた私にあたりまえだが、二人は驚いた。ゆきちゃんは私の頭を撫でてくれて大丈夫とまるで小さい子供をあやす様に抱きしめてくれた。まりあちゃんはため息を吐きながらも「一体何があったのよ」と相談にのってくれようとしていた。やっぱり二人とも優しい。優しすぎてまた涙腺が緩む。

「わわ!泣かないで、名前ちゃん!」
「あーもー!擦ったら目が腫れちゃうでしょ!」

待ってなさい、とまりあちゃんはハンカチを差し出してくれた。それを受け取り、ただ泣きじゃくるしかできない。

「とりあえずゆっくり、落ちついたらでいいから、なにがあったのか話してみて?」
「ゆきちゃ・・・」
「鹿島くんが、って言っていたけれど、彼となにかあったの?」

まりあちゃんの言葉に目を丸くし、沈黙する。、がまたぼろぼろ大粒の雫が頬を伝い、滴り落ちた。まりあちゃんはまずいことを言ってしまったのかと慌てていた。

「ご、ごめ・・・なんか勝手にでちゃって・・・」

ゆっくりでいい。その言葉の通り二人は背中をさすりながら待っていてくれた。ようやく気持ちが落ち着いてきた頃、二人に向き直す。

「お騒がせしました。もう大丈夫だよ。」

笑えば同じように笑い返してくれる。ああ、親友っていいなあ。心がぽかぽかと温かくなりながら事の経緯を事細かに話してみた。みるみる二人の顔が真っ赤に染まってゆく。

「つまり操ちゃんは鹿島くんにただの幼馴染としか見てもらえないのが嫌で、告白する前にキ・・・キキキ・・・キス、・・・」
「ゆきちゃん恥ずかしがらないで・・・私の方が恥ずかしい・・・」
「ごめんなさい〜・・・!」
「ほんとは今のままの関係でも十分だったの。でも今回の自分のした行動は思っていたことと違って自分は竜の特別な女の子になりたいんだって気がついて・・・」
「話し合うしかないんじゃないかしら」
「まりあちゃん」

それができたら苦労しないのよ。涙目で少し滲んだ眼でまりあちゃんを見る。

「こうやってうじうじ悩んで考えていても仕方がないことだし、鹿島くんの今の気持ちは聞かないことには分からないわ。あなたが鹿島くんから逃げてどうするの」
「そうだよ!操ちゃん!まりあちゃんの言う通りだよ!」
「鹿島くんならきっと大丈夫。だって彼はあなたを大事にしているわ。もっと自信を持って、きっと受け止めてくれる。」
「まりあちゃんって実は恋愛経験豊富・・・?」
「そ、そんなわけないでしょ!」

二人に相談してよかった。心が軽くなっていまなら竜にぶつかっていける。二人にお礼を言って、竜のいる保育ルームへと急いだ。

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