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気に食わない、気に食わない。誰よこいつ紹介してくれたのは。明日香だっけ?紹介されたよりは面倒くさいものを押しつけられたように思える。今日は厄日だ。本当、ついてない。目の前にいる遊城十代はにこにこ笑って私に勝負を挑んでくる。残念だけどそこまで勝ち負けに興味ないのだ。

「デュエルしょうぜ!」
「・・お断りします」
「そんなこと言わずにさ、やろうぜ!」
「私の話聞いてた?」
「お前とのデュエル、きっと楽しいと思うんだよ!」

なんて、目を輝かせながら遊城は言う。私の気持ちなんかお構いなしだ。煩いし、やるなら静かに勝負がしたいのよ。

「えーっと、それは遊城くんの意見だよね?私興味ないんで」

邪魔されないよう言葉を休む間もなく続けて言い放つ。

「それに言いたくないけど遊城くんそこまで強いようには見えないし頭わるそうだし」
「はは!頭悪いのは本当だけど勝負はしてみないと分かんねえだろ?」

確かにそうだけど。てかそこは認めちゃうんだ。先ほどから相変わらずよく笑う。なんだかこの笑顔を見てたら馬鹿馬鹿しくなってどうでもいいや、と思えてきた。はあー、とわざと大きくため息を吐く。やはりそれにも遊城くんは反応を見せない。

「いいよ。やろっか、デュエル」
「おっ。やっとやる気になって、」「ただし」

遊城くんの言葉の途中でピシャリ、言葉を遮る。遊城くんはきょとんと目を丸くこっちを見た。

「私が勝ったらもう二度と近寄らないで、当然デュエルもしない」
「いいぜ!俺が勝つけどな!」
「は……?」

なにその自信?どこからくるの?ううん、それより馬鹿にされてる?最初からよめない男だったけどさらに遊城十代というこの男が分からない。さっさと終わらせてしまおう。でないとイライラが募るばかりだ。

「んじゃ俺が勝ったら」
「……は?!なによそれ」
「自分だけってズルくねえ?フェアにいこうぜ」
「うぐ、」

確かにその通りでニヤニヤと鼻歌まじりに薄ら笑みを浮かべてる遊城くんは何を言い出すのかが分からなくて正直不安だ。

「決めた!」

遊城くんの言葉に喉を鳴らす。心臓が早く音を鳴らして真剣な顔で遊城くんの方を見据えた。

「お前面白いから俺と付き合えよ」

また突拍子もない発言に頭を抱える。本当にこの男は、もう、嫌だ。受けてしまった勝負だから仕方がないのだけれど。むしろ約束してしまったものを嘘でしたと平気で約束を破るなど人として、ううん、まず一人のデュエリストとしてありえない。
了承すれば決まりな、とそれはもう至極楽しそうに声を発してデュエルする為場所を移動しようと向きを変え歩き出した。
先ほどの嬉しそうな声になぜか身体から血の気が失せていく感覚がする。遊城くんが再度問いかけてくる。

「さっきの、嘘じゃないよな?」
「い、いいよ。どうせ遊城くんなんかに負けるはずないし」

、と後先考えず安請け合いしとんでもない結果に痛い目をみるのはまた後の話。







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