「蘭ちゃんいる?」
コナンくんだけ?そう聞けば買い物に行っているそうで、もう少しで帰ってくるとのこと。待たせてもらうことにして、客間に案内された。
「なまえさんなにか飲む?」
「あ、いいよお構いなく」
そう言ったけどコナンくんはジュースをだしてくれた。いい子だ。
二人してジュースを飲みながら帰ってくるのを待つ。カラン、グラスに入った氷が音を鳴らした。
「コナンくんってさあ」
「んー?」
「ほんと小さい頃の新一にそっくりだよね」
意地悪く笑い、口にすればちょうどジュースを飲んでいたところで変な器官にはいったのか激しくむせかえる。あからさまにそんなに動揺され、反応されるとは思ってなかったので慌てて背中をさすってやった。
「ごめんね、大丈夫?お水いる?」
「平気だよ・・・」
まだ、少し、苦しそうに咳き込む姿に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。いい歳した大人が子供相手になにやってるんだか。じ、と見つめる。うわ、ほんとに新一そっくり。昔の小さい頃の記憶が蘇る。・・・なんか虐めたくなってきた。
「キス、しよ」
「・・・は?」
「だからキス」
「なに言って」
言葉を遮るように、軽く唇を重ねる。メガネを外した姿はやはりそっくりで、驚いた顔で固まるコナンを見てにやりと笑う。
「へへ奪っちゃった」
そうからかいながら言えば顔を真っ赤にしてなにか言いたそうにしていたが空気ばかりで声がでない。なまえは自分の唇をひと舐めした。その行為にドキン、と肩が揺れる。
「もしかして、はじめて?」
なにも言わない。目を合わせようとはしないことから言葉通りの意味だと読み取った。ぎゅう、と勢いよく抱きしめる。
「やだ、かわいいーっ」
はじめていただきました。照れ具合が半端ない。ほんとめちゃくちゃかわいい。
「ごめんね、はじめてがお姉さんで」
頭をなでてやれば、真っ赤に、じと、と睨まれたような気がした。
「・・・別になまえさんならいいかな、って」
「っ!」
今度は自分が赤くなる。なんだか恥ずかしくなって、目線を逸らす。
「も、もー、なに急に。おませさんね。」
「僕、本当のこと言っただけだよ。」
「え・・・」
「ねえ、なまえさん、もっかいする?」
「え、え!?ええ・・・?」
目の前にいるのは本当に小学生?さっきから心臓がどきどきとうるさい。
なにを思ったのか、沈黙に耐えきれなくなったわたしは、不覚にも頷いてしまったのだった。