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「乱馬くんってほんと馬鹿だよね」

フェンスの淵ぎりぎりを絶妙なバランス間隔で歩く乱馬くん。突拍子もないこの発言にコケかけ危うく落ちそうになる。それをなんとか踏ん張った彼におおー、と拍手を送った。

「あっぶねーな!なんでいいきなり!」
「え?そのまんまも意味だよ」
「は?」
「だってあかねがいんのに女の子とっかえひっかえで優柔不断にも程があるよ。誰かに絞ったら?」
「・・・ケッ。またその話かよ。もう聞き飽きたっつーの!」

ぴょんっとまるで跳ねる動物のように地上へ降りてくる。なんて軽やか。てかいきなり自分の前に飛び降りて来ないでくれないか。心臓に悪いから。なんて目の前の男はそんなこと言っても分からないんだろうな。じっと見つめればたじろぐ彼。

「な、なんだよ」
「あのさ・・・、・・・」
「なんでい」
「なんでもない!ただこの話は乱馬くんには早かったかなって」

もう陽も沈みかけてる。鞄を持ち直して止めてた足を再度動かし進み始めた。

「あ、待てよ、おいっ」
「帰るよ。あー、お腹すいた。」

今日のご飯なにかな、なんて考えながら帰路へつく。後ろでぎゃんぎゃん騒ぐ声はうるさいけど聞こえないふり。どういう意味だの、教えろだの、言いかけて言わないのは卑怯だの、なんなの。言えるわけないじゃん。あの時完全にヤバいこと口にしようとしてた。顔に熱がどんどん集まってくる。あんなやつに絶対教えてなんかやるものか。恥ずかしくて死ぬ。

早くわたしの気持ちに気づけ、馬鹿。



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