「ピッコロさん来たよ!」
なまえは毎日のように神殿へとやって来る。本人曰く少しでも一緒にいたいから、との理由らしい。正直自分にはよく分からない。なまえは大事だ。大切だ。だが、それ以上の気持ちなのかどうなのか。
「今日はお願いがあってきたの」
顔を向ける。その時のなまえは目をキラキラ輝かせてた。
「恋人繋ぎしよ!」
聞きなれない言葉にピンと来ず沈黙。なまえは慌てて自分の両手を重ね合わせて「こーゆー感じの」と再現して見せた。
「ねえー、いいでしょ?」
「何度言われてもやらんものはやらん」
「ピッコロさんのケチ!」
「なんとでも言え。諦めてさっさと帰るんだな」
そう言ってピッコロさんは背中を向けてまた来た時とおなじ瞑想を始めた。
「やーだー!恋人繋ぎしてくんなきゃ帰らないっ」
「駄々をこねるなっ子供か貴様!」
「ふーんだ!」
いー、って歯を見せてピッコロさんに反抗する。ピッコロさんは呆れたようにため息を吐いてわたしの前にやって来た。
「ピッコロさん?」
「手をだせ」
「え!」
「いいから早くしろ。俺の気が変わらんうちに」
「・・・ピッコロさん!」
「ええい!いちいち抱きつくなあ!」
わくわく。胸を高鳴らせ右手を差し出して大人しく待つ。ピッコロさんの左手が伸びてきて、その手は少し震えているよう。あれ、もしかして。ピッコロさんなのに。
「ピッコロさんまさか」
「喋るな」
「は、はい」
ピッコロさんの手が触れる。う、わ。手を繋いだだけなのに、なんだか少しだけ緊張感が身体中を奔る。きっとあまりにもピッコロさんがいつもと違うからそれが伝染したんだ。
「これで満足か」
頬を赤くしてそっぽを向くピッコロさん。絡められた指がとろとろ溶けていく感覚。なんだかくすぐったい。
「・・・はい!」
だいすきですピッコロさん!わたしはそのまま愛しいひとの胸の中に思い切り飛びつく。危ないって怒られるけど結局は優しく愛してくれるんです。
title/sprinklamp,