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「いいなあ」
「なにが?」

私の洩らした言葉に不思議そうに尋ねるサラダちゃんとミツキくん。

「ボルトくんと同じ班、羨ましいなあって」
「はあ?なにそれ止めてよ!」

サラダちゃんは心底嫌そうに眉を顰めて、ミツキくんは相変わらずの表情変えずやり取りを見ている。

「だってずっとボルトくんと一緒にいられるんだよ。彼とずっと一緒にいられたら辛い任務も乗り越えられそう。楽しいだろうなあ」

ふわふわした雰囲気でそう言うなまえにまさかと思う。

「なに?もしかしてボルトのこと・・・」
「・・・」

頬が熱くなる。嘘をつくことが苦手な私はこくんと頷いた。

「しんじらんない!もっといい男いるでしょ!?」
「ボルトくんはかっこいいよ!」
「ほんと止めて」
「なまえって結構直球だね。その勢いでボルトに想いを伝えればいいのに」
「え!やだ、無理!」
「どうして?」
「・・・恥ずかしい」

いままでの会話で恥ずかしいことを言っていたような気もするがそれはさておき。

「アイツそのてのことには鈍いからね。ちゃんと告白しないとまず100%無理だと思う。」
「別に、付き合いとかじゃないのよ。ただ傍にいられたらって」
「もたもたしてたら誰かにとられちゃうかもよ?」
「え」

間抜けな顔と声をサラダちゃんは噴き出して、その姿をぽかんと眺めていると頭を撫でられた。

「ふふっ嘘よ冗談。アイツを好きになる人はどこ捜したっていないって。なまえだけよ」

どうやらからかわれたらしい。本気にしてしまった私は頬を膨らませ拗ねた声をだす。

「ひどいサラダちゃん!」
「ごめんって!」

「あ、ボルト」

ミツキくんの声にぴたりと止まる。ボルトくん?ふ、と顔を上げれば確かに彼が立っていた。

「遅れて悪い!」
「遅い!任務だったらどうすんのよ!」
「うっせえなサラダは!いいだろ今日は任務じゃないんだから!」

ボルトくんの声が私の鼓膜を震わせる。彼の声を聞くだけで胸がきゅうっとなって苦しくなって、どうにかなってしまいそう。恥ずかしくて顔あわせられないや。

「なまえ?」
「へっ、ひゃ!」

前を向いたらボルトくんの顔が近くて思わずうわずった声を発してしまった。やだ、変な声だしちゃった。じ、と私の顔を見つめる。え、なんだろ、なにかついてる?ついてたら恥ずかしい。でも鏡ないから確認できず心臓の音が煩く鳴るばかり。

「どうした?顔、真っ赤だってばさ」
「っ、え、あ、だいじょうぶ」
「熱か?それだったら早く帰った方が」
「へいき!」

家に帰ったらボルトくんといられる時間が減ってしまう。それだけは。

「なまえが大丈夫って言ってるんだから」
「あ、ああ。具合悪くなったらすぐ言えよ!?」
「うん、ありがとう心配してくれて」
「当たり前だろ?仲間なんだからさ!」
「う、ん・・・」

仲間。その言葉がちくりと胸を刺す。分かってた。分かってたけど。

「改めて言われると辛いなあ・・・」



雷バーガー店をでてボルトくんとミツキくんの後をついていく。サラダちゃんに隣歩きなよと言われたが無理だと告げるとため息をつかれて少し落ち込む。いくらなんでも隣を歩くのは無理です。

「なまえって物好きだよね」
「どうゆう意味?」
「ったくあんなののどこがいいんだかねえー」
「わあっ!サラダちゃんしー!しーっ」

わざとらしく言うサラダちゃんの口を慌てて覆って、聞こえてないか不安にちらりと彼を見る。どうやら聞こえていないようでほっと息をついた。ミツキくんと楽しそうに話している笑顔にまた心臓が鳴った。

あの笑顔が見られなくなるのだけは嫌なんだ。いまの雰囲気も壊したくない。

だからどうかもう少しだけこのまま。



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