愛がない行為だろうと性欲が満たされればそれでいい。
「・・・ん、っ・・・」
「ごめんナマエ、痛い?」
「へ、っいき・・・」
「痛かったら我慢しないで言って。ナマエには気持ちよくなってほしいから」
「ん・・・」
ぎゅう、と三日月の首に手を回す。密着したら汗ばんだ肌がじっとりとして少し嫌な感じがした。息遣い、お互いの匂い、甘い喘ぎ声や突くたびに響く水音。ぐちゃぐちゃと混ざり合ってなぜかそれが心地よくて、それをずっと聞いて、それをずっと感じていたくなる。落ち着いた様子のナマエに三日月は言う。
「まだ余裕があるね」
「うあっ・・・ん、んっく、あああ!」
動きが早く、深く突かれ、ナマエはより一層甘い甲高い声をだした。何度も何度も愛おしそうに名前を呼ぶ。力の限りきつく抱きしめた。
「くぅあっ」
強ばったつま先がピンと伸びて数回痙攣する。
「良かった?」
「・・・はー、は・・・っよかっ、た」
「ん、ほら」
布団にはいりすり寄った。その姿はまるで猫のよう。飼いならされた主人と小動物。傍から見れば身体だけの関係なんておかしいと言われるかもしれない。だけど私達はそれでいい。それがいいのだ。
「ナマエ眠い?」
「んー・・・ちょっとだけ、ね」
「寝ていいよ。起こしてあげるから。」
「傍にいてくれる?どこにも行かない?」
まどろんだ瞳でそう聞けば三日月は「行かない。」とだけ言った。瞼を閉じたり開いたり、眠りかけのいまはすぐに堕ちそうでぼんやりと表情は見えない。ただ、優しく笑ったのだけは分かる。
「ナマエがそう望むなら俺はどこにも行かない。」
よかった。そう言葉にする前に意識はぷつりと途切れ眠りにおちた。この日だけはとても幸せな夢を見ることができた。起きたら三日月に教えてあげよう。