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「黒子くん大丈夫?」


いつもと違う雰囲気の黒子くんに小首を傾げ聞いてみた。焦点が定まっていない黒子くんの瞳はぐらぐらと揺らいでいた。うん、これは。黒子くんのおでこに手をあててみる。瞬間、女の子とは思えない声を発してしまい、皆から視線を集めてしまう。監督ー、相田リコ。私のお姉ちゃんは私の声に驚いたのかすっ飛んできた。

「どうしたの名前!?」
「お、ねえ、ちゃっ、く、くくく、くろっこく、が!」
「分かったから落ち着きなさい」
「黒子くんがすごい熱なの!」

確かに誰が見ても黒子の様子がおかしいのは一目瞭然だった。


「黒子くん指何本に見える?」
「二本・・、です」
「重症ね」


リコは重いため息を吐いた。一本の指を二本だと言った黒子の視界は相当ぼやけているのだろう。倒れられる前に家に帰したほうがよさそうだ。


「黒子くんは強制帰宅!そんで、さっさと風邪治してね!」
「はい・・すみません」


ふらふらした足取りで帰宅する黒子くん。心配だ。帰りにお見舞いに寄ってみよう。


呼び鈴を鳴らせば、はい、と少し掠れた黒子くんの声が聞こえてきた。よかった、生きてる。無事だと分かってほっと息をついた。


「く、黒子くん?#苗字#です」


なんだか少し緊張する。ドキドキしながら前髪を整える。お見舞いにきただきなかなのに変だ。


「#苗字#さん・・」
「あ、黒子くん大丈夫?きっとなにも食べてないだろうと思って、」
「うつっちゃいますよ」
「大丈夫!こう見えても風邪はひいたことないんだから!マネージャーとしてサポートするのは当然!」
「マネージャー、ですか」
「うん!」

なんだか黒子くんの顔が曇ったのは気のせいだろうか。お邪魔します、と言って靴を脱ぎ綺麗に隅に並べる。台所を借りてお粥を作りはじめた。出来上がったものを黒子くんの部屋へ運ぶ。


「黒子くーん、できたよ!はいるね・・」


そっと開けてみれば静かに寝息をたてて寝ている黒子くん。お粥を机のうえにおいて寝顔をじっと見つめる。可愛い。そう思ったら迷惑、かな。男の子なんだから嫌がるよね。くすくす笑いながら寝顔を堪能していればそっと黒子くんの閉じていた瞼が開いた。 ぱっちりと目があう。


「きゃ、!?あ、ああああのっ、お粥ができたから持ってきたんだけど」
「#苗字#さん、いま・・」
「っ!ごめんなさいっ!寝顔可愛いな、って見入ってしまって・・!」


離れようとすれば黒子くんに手首を掴まれ引き寄せられた。


「僕はてっきりキスされるのかと思っちゃいました」
「キ、!?」
「動揺しすぎです、でもそこが可愛いんですけどね」


ちゅ、と唇にふにゃんとした感触。黒子くんの唇が私の唇に重なったのだ。

黒子くんのいきなりの行動に私は固まってしまい、暫く動けなかった。


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