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「オルガくん匿って・・!」
「は?なんだよいきなり」
「話は後!いいから」
「おい・・っ」

焦ったように、半分泪目で、何があったのかと聞く暇も与えない。訳が分からないままリジィが勢いよく部屋へはいり隠れると入れ違いで三日月が姿を現す。

「オルガ今リジィ来なかった?」
「いや見てねえけど。」
「ふーん」
「リジィとどうかしたのか?」

「リジィが俺から逃げるんだ。なかなか捕まらない。」
「三日月、お前またなんかしたのか」

オルガは息を吐き三日月に苦笑した。最近の三日月とリジィはなんか様子がおかしかったから今の言動で少しだが納得がいく。黙っていた三日月だったが暫くしてもごもごと口を動かし喋り始めた。

「俺、リジィに告白した」
「へえ。・・・、はっ!?お前、今!」
「うん」
「・・・はあー・・・」
「なんでため息つくのオルガ」
「リジィが戸惑うのも無理はねえよ。アイツ男苦手だから」
「そうなの?」
「前アトラたちと話していたのをたまたま聞いたことがあるだけだがな」

ふーん、と興味なさそうな三日月の返事にオルガは頭が痛くなった。ただでさえ疲れているというのに勘弁してもらいたい、ほんとに。嫌な予感しかなくてオルガはもう一つ疑問を三日月に聞いてみた。

「・・・ほかに変なことしてないよな」
「なに変なことって」
「とにかく変なことだよ」
「・・・キスならしたけど」

三日月の常識を外れた発言にもう驚かない。そうか。いきなりそうきたか。そりゃ警戒もするし逃げたくなるわけだ。何度目か分からないため息。

「リジィはさ、俺にとって命より大事な奴なんだ。護りたいんだよ、リジィの笑顔を。」
「アトラとはどうなんだよ」
「・・・なんでアトラ?」
「お前ら付き合ってんだろ?噂になってる」
「アトラは違う。アトラは仲間だし、家族だ」
「リジィのどこがいいんだよ。」
「俺はリジィの笑った顔、怒った顔、表情が変わる名前が好き。強がってみせても涙脆い。仲間の前じゃ弱音は決してはかない仲間思いなところ。あと、柔らかそうなところかな・・・オルガ?」
「いや、悪い。まさかそこまで真剣に答えてくれるとは思わなくて」
「・・・?、聞いたのはオルガでしょ」

これはリジィにはハードルが高いだろう。

「じゃあ俺行くね。リジィを見つけたら教えて」
「お、おう」

三日月が部屋をでて足音が離れていく音を聞きながら完全に気配がなくなった頃にあわせてひっそりと名前にでてきていいと告げる。だが、名前はそこから動こうとはしない。なんとなく察しがついた。青春だねえ。そういった意味も含めてもう一度声をかける。

「だとよ。こっちが聞いてる方が恥ずかしいわ、お前ら。」
「・・・もうイヤ、なんなのよ三日月くんって・・・!」


ニヤニヤと意地悪く笑うオルガくんに多少苛立ちをおぼえながらも、言い返すことはできず、ただ三日月くんの言葉たちがぐるぐると頭の中を支配していく。羞恥心が勝ちオルガくんの顔が見えずただひたすら自分の顔に集まる熱を冷まそうと顔が見えないよう隠すのに必死だった。またオルガくんの笑う声が聞こえてくる。こんどは愉快に楽しそうに。・・・覚えてろよ、もう。


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