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「俺リジィのこと好きみたいなんだけど」

みたい、ってなに?

生まれて初めて男の子に告白されたのはなんとも不思議な、そんな曖昧な告白だった。私は小首を傾げ彼を怪しむ目で見上げる。彼は平然としておりなんか、こう、もっと反応があるんじゃないのか。照れるとか冗談でしたとか。冗談とかだったらそれはそれで怒るけれど。とにかく困惑している私とは真逆に彼は至って普通だ。考えている間にも彼は待ってはくれないようで。

「リジィは?」
「へっ、?」
「俺の事、好きなの?」
「いや・・好き・・?って、いうか、」

友達?戦友?家族?いろんな感情が頭をよぎる。近いもので例えれば家族に近かった。大事だけど恋愛で好きかと問われれば答えは”no”だ。

「え、と・・」

私の返事を待つ彼の視線が痛くてこの場から逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。だけど一応告白してくれたのだから精一杯彼の気持ちに応えねばならない。私は拳をぎゅう、と力強く握って彼の方へ向いた。

「ご、ごめんなさい・・」
「なんで?」
「え、と、好きだけど違うの。仲間としての好きなの。だから」
「それってなにと違うの?好きなら同じだよね?」
「!?」

え?、え?、いや、どう違うって?

「・・そんな風に返されるとは思わなかったから、・・わかんない。」
「わかんないならいいじゃん」
「よくないっ!」
「なんで?」

お願いだから聞かないで。

「だ、って付き合う、ってあれ、でしょ?」
「うん」
「恋人同士ってことは・・その関係になった人にしかできない事、するんでしょ?・・無理・・」
「ふうん・・そういうものなの?好きなら問題ないんじゃない」
「・・それはだめだよやっぱり本当に好きになった人とじゃないと
だからお付き合いはできませ・・!」

いきなり腕をひっぱられてバランスを崩す。気がつけば彼の腕の中。私は耳まで顔を真っ赤にそんな彼のした行動に驚いた。

「え、・・な、なにっ・・んっ・・!」

自分の唇に柔らかい感触。数秒してそれは離れて目の前には真剣な表情をした彼と視線が交わる。どく、と心臓が音を鳴らす。彼を見てると自分の心臓の音がさらに加速して鳴るのが分かった。

「どう?ドキドキした?」
「・・っ、し・・ない・・、怖い・・っ」

いつもの彼とは違う。この時にやっと好きなのかどうかの分からなかった曖昧すぎる彼の好きはほんとの好きなんだと知った。それでも私は彼に気持ちを返すことはできないし、そんなつもりもない。どうして。普段通りがいいのに。どうしたらいいの。考える時間がほしい。頭がついていかない。

「わ、たし、・・もう行かなきゃ、」
「逃げないでよ」
「逃げて・・ない」
「俺を見て」
「っ、用事があるから!」

耐えきれなくなりその場から走り去る。とにかく彼から離れたかった。このままいたらおかしくなってしまいそうで。

「リジィ俺諦めないから」

背中ごしに届いた彼の声。私は閉ざすように必死に聞こえないふりをしたんだ。


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