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※スクエア本誌ネタバレ








燐の教室へと足を運ばせれば彼は死んだ魚のような目をしていた。


「やだ、ちょっと燐ってばどうしたの?」


声をかければ志摩くんと子猫丸くんが事情を説明してくれた。どうやら昨日学園祭のダンパにしえみちゃんを誘おうとして誘う前に玉砕したのだとか。しかもしえみちゃんから「雪ちゃんを誘おうと思っているの!」と笑顔で聞かされたとは、考えるだけで可哀想。


「うわ、なんて悲惨な・・」


もう一度哀れむように燐を見る。でも、自分にとってはチャンスかもしれない。最初から燐はしえみちゃんを誘うと思っていたからあえて誘わなかった。だって断られること分かってるのに誘うなんて、私はそこまで馬鹿じゃない。雪男は相変わらずだと思ったし。よし、と意を決心して燐に近づく。気さくにいこう。


「燐」
「んあ?・・なんだ、名前か」
「なんだとはなによ!折角慰めにきてやったのに!しえみちゃんにフラれたんだってえ〜?」


にしし、とからかうように口に手を添えて笑う。それに燐は少し眉を寄せた。


「なんだよ、お前俺をバカにしにきたのかよ」
「アンタが馬鹿でしょ?しえみちゃんが燐なんか誘うわけないって分かってたじゃない」


燐の表情がどんどん険しくなっていく。こんなことが言いたいんじゃないのに。やだ、言葉が止まらない。


「それなのに本気で誘いにいっちゃって」
「うっせーな!んなこと・・分かってんだよ!」


燐の大声にびくり、と肩が揺れる。私の表情を見て燐は、はっと我にかえった。


「わりい・・そりゃ、ちょっとは期待しちまったけど、お前にあたることじゃないよな」


頭を掻いて燐はもう一度謝ってきた。・・ばか。そんな表情しないでよ。私言いすぎたのに。


セーターの袖から少し覗かせた手を軽く握る。


「な、ならさ、私とでない!?」
「は・・?」
「いいじゃない。もう他にいないんでしょ?」


きっと私の頬は赤く染まっているはずだ。燐も顔を赤らめて私から視線を逸らす。


「・・ま、よろしく頼むわ」
「了解」


こつん、と燐との拳があわさる。憎まれ口たたいてしか、誘えないなんてね。こんな調子で本番は大丈夫だろうか。頭の中で必死に考えるものの、今から行くのが楽しみすぎて、嬉しくて、頬が緩んだ。



心拍数は上昇

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