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「ななしちゃんおはよう!」
「・・・っ、お、おは・・よ、う・・・」

ございます、とぼそぼそと呟かれた言葉たち。そしてそのままぱたぱたと駆けていく。トランクスはそんな後姿にどうしようもない気持ちでいっぱいになった。
朝からずっとこんな調子。会話もなければ目もまともに合わせてくれない。恥ずかしがりやなのよ。もう少し待ってみたら?とブルマに言われるもののやはり避けられるのは悲しい。昨日はちゃんと挨拶してくれたたし自分以外とは喋れてるみたいだし。(ベジータは除く)どうやったら仲良くなれるんだろう。暫くうーんと唸って考えてたトランクス。なにかを思いついたように庭に向かう。そこには綺麗な色とりどりの花たちがそよ風に吹かれていた。本当は花を抜くなんてやったらいけないことだけど、花を買うなんてらしくないしななしもそこまでは望んでないはず。それならこの花壇に咲く一輪の花で十分だと思ったのだ。これで少しは心を開いてくれるといいな。トランクスは少し罪悪感を覚えながらも花たちにごめんと呟いてななしと同じ髪留めによく似た色の花を選んで引き抜いた。

ななしの部屋へ向かう途中本人の姿が見えた。

「ちょうど良かった!ななしちゃんに渡したいものが」

ビクリ!あからさまに怖がってる反応にトランクスは負けじとななしに近づく。だがななしは反対に向いてそのまま走り出した。

「あっなんで逃げるんだよ」

いくらなんでもそれはないだろうとトランクスも追いかけた。走るのが苦手なのかスピードが遅く追いついてしまいそう。足がもつれ、つん。と躓いて顔を強く打ってしまう。追いついたトランクスは心配そうにななしの顔を覗き込んだ。鼻と膝が少し赤くなっていたが平気だとななしは言う。また逃げてしまいそうな様子だったので慌てて持っていた花をさしだした。花をさしだされて不思議そうに交互に見た。

「庭に咲いてたのだけどキレイだろ?」

こくり、頷く。トランクスはニっと笑みを浮かべた。

「今度は一緒に見にいこうよ!あ、花ひっこ抜いちゃったことはママにはナイショね!」
「ありが、とう・・・」

少しだけ近づけたかな。取りあえずもう逃げることはない様子だったのでほっと安堵の息を吐き、はじめて見たキラキラと輝く眩しい笑顔に目眩をおぼえた。


title/yoto

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