「ななしちゃんでかけるわよー!」
どうやらでかけるらしい。ちょっと外にでるの憂鬱だなって思ったけどそんなことは言えない。ブルマはトランクスにも声をかけていた。車に乗って目的地へ向かう。家から15分くらい走った車はようやく止まる。連れてこられた場所は駄菓子屋さん。トランクスは「わーい」ってすごく嬉しそうに店の中に入っていった。立ち尽くしているななしの肩をぽんっと叩いてそちらに目を向ければウインクされる。
「今日は特別。ななしちゃんが我が家の一員になった」
本当に、いいのだろうか。家に住まわせてもらって、部屋までもらって、さらに物を買ってもらうなんて。高価な物じゃないんだから、と言うがななしにとっては十分すぎるほど高価な物だ。
「ふふ遠慮しないでいいのよ好きなもの選びなさい」
「ママー、全種類買ってもいい?」
「馬鹿!一つよ、今日は一つ!」
「ちぇっ」
今日は、って聞こえたけどいつもは買うのだろうか。この中にあるお菓子たち、全部。ちらり、ブルマを見上げる。にこにこと笑みを浮かべるブルマにあわあわとしながら店内を見まわす。奥へ進んでいく間に目に飛び込んできた透明な小瓶に入ったカラフルなもの。あまりにも可愛くてそれをおずおずと指さした。
「あら懐かしい金平糖ね」
「金平糖?」
「砂糖菓子なんだけど甘くておいしいのよ。」
はい、と手渡されてそれをぎゅっと握りしめる。帰りの車の中で買ってもらった金平糖の小瓶を眺める。隣に座っていたトランクスが興味津々に尋ねてきた。
「ななしちゃんそれなに?」
「金平糖っていうんだって。トランクスくんにもあげるね」
笑顔を見せたトランクスにななしも笑顔で返した。隣で買ったお菓子を食べてるトランクスを見て、驚きながらも自分も蓋をあけて、手のひらに金平糖を取り出した。すごくキラキラして可愛くて食べるのがもったいない。だが、手がべたべたになりそうだったのでそっと口にいれる。甘い砂糖が口の中全体に広がった。それはとろとろと溶けていって心にも染み込むように包み込まれてとろけて消えた。
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