再会と続熱 | ナノ



「どうした?  ヒロキ、なんか嬉しそうじゃん」
「……昨日の帰り、水本に会った」
「水本ぉ?  ええっと、水本水本……あ。アレか?  中学一緒だった、お前がずーっと好きだったのに断られて今までのように話せなくなることが怖くて一回も告白できなかったあの水本か?」
「うっせえ説明口調やめろ殴るぞ」
「このチキン野郎め」
「黙ればか」
「で、なんだ。水本がどうしたんだ」
「中学んときと全然変わってなくってさ、ああでも可愛くなってた。もう、超可愛くって」
「俺はお前の感性がわからん」
「ぜんっぜん色気づいてなくって、スカートも未だに折ってなくて。やっぱり優等生丈だった」
「そりゃ水本って優等生だったろ。俺は三年前にお前の話聞くまではずっと、お固い優等生サマだと思ってたぜ」
「ほんっと可愛くってさ、」
「ヒロキ俺の話聞いてる?  話噛み合わせる努力してくれる?」
「つい触っちゃった」
「ヒロキくん逮捕しまーす」
「逮捕されるようなとこは触ってないっつの」
「じゃあどこだよ言ってみろよ」
「髪触って、ちょっと頭撫でた」
「ニヤついてるヒロキきっも」
「黙れよ」
「水本がかわいそう……」
「あいつめっちゃ可愛いんだって。赤くなったかと思ったら俯いて。思わず抱きしめそうになった」
「だけど平静を装ってー?」
「家帰った」
「このむっつりスケベ野郎!」
「うっせえよ」
「あーあ。ユミもカオルもリカもナオミも、なんでお前みたいなチキンがいいんだろうね。俺泣きそう」
「誰がチキンだ」
「まあ二人きりになれて触れたんなら、進歩はしてるんだろうけど」
「けど?」
「チキンって言われたくなかったら、早く告白して付き合うことだな。そしたらお前狙いの女の子たちは俺がゲットする」
「無理」
「俺には女の子はゲットできねえってか?あぁん?」
「そっちじゃねえよ」
「……中学入りたてから今までずっと好きなんだろ。いいじゃねえか、もう」
「断られたらショックでお前のことぶん殴りそう」
「なんでお前チキンなのに俺には強気なの?ねえなんで?」
「だいたい、あれだよ。水本は俺のことを友達だと思ってる。いい友達だ、って」
「だからなんだよ。しかもそれ二年前の話だろ。お前は恋に積極的なのか消極的なのかはっきりしろよ」
「だーかーらー、水本にとっては俺が告白しない方がいいんだよ」
「はあ?  した方が良いに決まってんだろアホか」
「うっせえ。しねえったらしねえ」
「でも好きなんだろ?」
「ああ」
「また会いたいだろ?」
「次は時間合わせて会いにいく」
「ストーカー気質きっも……」
「ちょっと今のは俺も気持ち悪いと思った」


「ヒロキ、トモヤ!  今日一緒にカラオケ行かない?」
「ユミ主催カラオケ大会かー?  俺行く!」
「俺は……ちょっと用事あるから、行けねえわ」
「えー残念。トモヤよりヒロキと行きたかったのにー」
「俺じゃ役者不足ってか!」
「しょうがないからトモヤで我慢してあげる」
「してあげるって何だ、してあげるって!」


「カラオケ組、行ってらっしゃい」
「ヒロキ、お前、水本に会いにいく気だろ」
「あー……バレた?」
「でも告白はー?」
「しない」
「あーもうめんどくせえなあ!早く告っちまえばいいのに!」



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