だからせめて空を切る。


人ごみに立つ度、視界にしみじみとする。誰もがそれぞれ、自分で選んだ服を着ているのだなあ、と。一部の例外もあろうが、10代なかばからの私服なら、大抵は自らのセレクトだろう。
柄が気に入ったのかな。流行かな。TPO最優先かも。どうあれ、手持ちの中から今日はこれと決めて身にまとっている。朝食のメニューほどは漫然とやれない選択肢。
何故か無性に服が好きだ。しかし、こだわりや決めどころを意識しはじめたのはつい最近のこと。以前はただ好悪の感情に任せていただけだった。アイロンをかける前のシャツのように、どこか丁寧さが足りていなかった気がする。
今はまず素材を重視している。基本は綿。合成繊維が混ざっていても40%まで。次いで、麻。冬ならウールの種類で比べ、アクリルのみは避ける。
生地の良さを引き出していて、ほんの少し緊張感をくれる色、たとえば白が良い。
これでおのずと組み合わせが浮かんでくる。着る。足す。以上。
シャツ、カーデ、ボトム、各5点ずつで工夫する生活が理想だ。愛着のある古い服で満たされていたい。新しい服は嬉しいけど、なじむまで何年かかることか。
至福のワードローブの内実は、せつない、はかない未来だ。


洋服やコーディネイトへのこだわりについて
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