解離の壁に手をつけて


私、というものを表現する言葉って何だろう。
既にこうして、あまりにも自然に「言葉」での表現を選んだ。
誰にも強制されずに、私自身で。
それがすべてだろう。そうであれば、私も嬉しい。
けれど、言葉がどれほど儚くて、脆くて、失われやすいか。
ひとり問う。ほらもう、また忘れていませんか。
肉体は必ず朽ちる。
遺るのは精神。そう語られて来た。
精神を留め伝える手段の一つが、言葉だと。
なのに、今や言葉は溢れかえって、口から手から出た傍から流され、たちまち消えうせて行っている気がする。それこそ泡のように。
誰もがそれをごく自明の前提として言葉を放っているのだろうか。
私だって、まさか死後も語り継がれるよう求めて何かを書いているわけではない。
でも、言葉において他人事でありたいとは思わない。
自己満足であるからこそ、他でもない私が満足するまで、持てるものすべてを尽くしたいともがく。
私の肉体は朽ちる。
私の言葉も文章も。
そして後者の方が絶対的に早く死を迎える。
どころか、きっと私は毎日、まいにち、死んでいる。
私が自ら選んだ祝福。
誰にも強制されずに、私自身で。
つたなく、無知で、矛盾していて、何も為さない。
でも、こんなにも自由だ。


自身について
170302 1637


←五万打記念企画記録
←お題一覧
←表紙

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -