フランシスコの鏡


もう期待はしないの。反抗期だもの、子離れしなくてはね。
10代なかばの息子さんが頭痛の種だと、年上の彼女が溜息をついた。
それは、何だかとても印象深い言葉ですね。
決して社交辞令でなく、心からそう返し、記憶のメモに書き留めた。
思えば私の親も同じことを繰り返し口にしていた。もう勝手にしなさい。あなたの人生だから。関係ないから。
3日も経てばその言葉は見事なまでに翻る。
親子の縁は血から始まって互いの望みに発展する。ころころ変化する理由のひとつ。
その輪の外側に一歩ふみ出た途端、思い知る。親の甘さを。
今や、顔を見あわせたことも、肉声で話したこともない、完全に未知の、でも確かに存在している誰かとも、私は関わることができる。少なくとも、そういう気になっている。
現実よりも、なお一層この縁は無償でなくてはならない。タテもヨコもない軸、もしも楕円にでもなれば奇跡だ。
彼らがともかくも選んだ生活、言葉、画像、表現。
私がこのんで知りたがる、きっと世界の小さな断片。
読んでいますよ、と明かすしおり。好きですよ、と告白するお気に入り。行きますよ、とかかげる、たいまつ。
貪欲でわがままな私には、子離れの真似事もできやしない。


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