レトリレガート


理解を乞います。あなたにだけは。
こんなに恥じらいもなくみっともなくなれるのだから、あなたは私を値踏みするでしょう。
きちんと。ふむふむと。
それでいいのです。
それがいいのです。
あなたが来い来いと手招くのなら、足ぶみなんて絶対しません。
何を言われるかとか聞かれるかとか、そんなこと考えてみたってしょうがない。
ぶん投げて、すぐ行きます。
そして、約束します。
言葉のあやで惑わすつもりなら、故意におどらされてみせましょう。
だからずっと話しましょう。
互いの相手でいつづけましょう。
今の過去の未来のあなたを、私を、自分を、語り聞かせあいましょう。
ちいさな歴史。いとしい史実。
こうこうこうでこうなのかな、と私がひとり勝手に探る真実なんて、あなたと交わす自己主張に比べたら哀しいくらいつまらない。
何が好きで、何が嫌いで、どこに行きたいか、いつ幸せだったか。
悪口も偏見も、変なこだわりも妙な癖も。
僕は僕が僕なら僕の場合は。
私が私は私だったら私のやり方では。
一歩も譲らず、ただただひたすら、連綿と、つなげていきましょう。
こうこうこうで、こうなのです。
そんな話を。
伝えあい続けましょう。
そんな濃い甘えあい。
ゆるされたのなら。


恋文
150213 2314


←五万打記念企画記録
←お題一覧
←表紙

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -