産めなかった痛みと、育てられない怒りと、育てられたもどかしさが三者三様に相まった、ひたすらに悲しく、優しい話。
「別れの一族」とかその他もろもろ中二ごころをくすぐる名詞や題材が並んで広大な世界観をかたちづくっています。
けど、たぶん物語の主軸はとてもわかりやすいところにある気がします。
最後のほうで「新たな別れのために」また出会いにいこう、旅立とう、といったセリフがあるのですが、ここまで突き抜けるとそれが不思議と辛い言葉に聞こえない。
主人公はほぼ不老長寿の一族なので、見送る側に立つことは必然だし、でもそれはやっぱり傷を残すことだから「外の世界に行ったら誰かを愛してはいけない、本当のたった一人になってしまう」との長老(見た目は十代でその実、四百歳)の教えもうなずける。
だけど主人公は愛した結果、一人にならなかった。
なったとしても「愛してよかった」とはっきり言っている。
その直前に愛した人に先立たれて号泣したのに。
主人公は愛した人との約束も長老の教えも破ったからこそ、これから先の長い時間もしっかり生きていけるのだろうな、と思います。
また誰かと出会うのだからまた誰かを愛してほしいものです。
上映時間の関係かもしれないけど、ところどころ「もうちょっとここでためてほしい」と感じる箇所があったので、一時間ぐらい追加したバージョンを特典につけてくださってもよろしかったのよ……?
と、偉そうに言いたくなるぐらい、衝撃的な力で心を打たれました。
また改めてじっくり観たいです。
そして、おすすめです。



もうね、息子の嫁があの子とかまさかの展開だったしその数秒前の「俺は父親になりますから」ってそういう意味か!ってなったし、それより前に軍に入るとき主人公が「いってらっしゃい」って言ってもどこで「おかえり」を言うんだよってまた涙に暮れてたらあんなところで反則技を……!王妃になった子の娘の乳母がさり気なく泣かせにくるし、梶はあれはあれで救いがないようであるし(彼のポジションはやっぱり母性と父性の対比だったりするのかな。それとも自分の運命とうまくさよならできなかった悲劇の象徴か。梶……実に梶……)、ケガした息子との実質最後の会話で「お母さんて呼ばれなくてもあなたが呼んでくれる名前が私の名前になる」「あなたのことを考えることと自分のことを考えることは同じだった」とか母親ものが超苦手でそうと知ってたらこれ買わなかったかもしれない私を心おきなく大泣きさせたし、終わるかな終わるかなそろそろ終わるよねって思ってたらあんな……あんな……ですよ!クレジットの後の一枚絵までおおおってなったよ!なんというか、主人公の世界の外にもちゃんと世界と時間があってそれぞれ生きている、呼吸しているのが伝わってきてまた嬉し泣きだよ!今週ヴェノム観に行く予定なのに抜け出せるか不安すぎます!ヴェノムたのしみ!

181031 2200
感想、映画(アニメ)。


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