アイアンハイドったらいつも血の気が多い。

そのくせ失敗するといつまでも落ち込んでるし、こいつは厄介なロボットだなあと私は頬杖しながら思った。正式には超ロボット生命体、だったか。そんなことはどうでもよくて、正直言って今のアイアンハイドはめんどくさいの一言に尽きる。

落ち込んでる人間が典型的にやるような体勢でずっと溜息をしている。学校をはやく切り上げて会いに来た私の身にもなってほしい。あわよくば、一緒にドライブとか、そういうデートみたいなことも、したかったのに。

任務に関係のないところでやった失敗が大きなトラブルになったとかで、彼は私が基地に足を踏み入れる数時間前から意気消沈しているそうだ。私は、軍医ラチェットの冷静な報告をげっそりした顔で聞いていたのだと思う。ラチェットはそんな顔でアイアンハイドに会ってくれるなと苦笑いだった。

またか。と言いたいのを押し込めて深呼吸で調子を整える。私はつやつやした赤い機体に近づくと、彼に目を合わせないようにそっぽ向きながら口を開いた。


「アイアンハイド、いつまでそんなことしてんの」

「ああ……。ナマエか。ヘマしてな、迷惑かけちまったんだ」

「迷惑なんてみんなかけあいっこしてるでしょこの基地では」


司令官までもがいろんないみであやふやなサイバトロン戦士たちだ。失敗なんて日常茶飯事。それをいちいち反省してるのなんておよそアイアンハイドだけだ。あとのやつらはケロッと忘れたようにするもんなのだ。そういう楽な生き方ができない彼が、私は好きなんだろうと思うけど。


「抱きしめてほしい?」

「情けないことに」


情けないあなたが好きだよ。ぎゅっとその冷たい窓ガラスの付いた胸部に頬を押し付けて、おおきな機体になるべく広く触れられるように、抱き付いた。