最近ナマエは明るくなってきたなあ。
いや、もともと明るい性格だったんだが、それを無理やり隠していたんだ。明るい性格に戻ろうとしてる、ってとこかな。でもまだ自分の中の葛藤があるんだろう。いまひとつ、吹っ切れない部分があるみたいだ。
俺はナマエに最初けっこう怖がられたっけな。身体がでかいから。でも、あいつは自分から壁を壊しに来てくれたんだ。まるでミコみたいだった。お前たちみたいに現場についてこようともしたよ。状況の報告のためには現場に行かないと!って言うのを必死になって止めたもんだ。あの時から仕事熱心だったからなあ。今でもそうだけど、出会った当初は使命感に燃えてて、アツい奴って印象だった。
そうそう、レッカーズの仲間にもそういう奴がいて、そいつを思い出したよ。懐かしいなあ。
ソイツはナマエと違って、他人の言うこと聞かずにどんどん突っ込んでいって、堂々勝利を持って帰って来て俺たちの胆を冷やす奴だったけど。アイツは生きているのが人間と比べて物凄く長いし色々なことを経験してる。苦汁も舐めた分、強い奴なんだ。
ここにあいつが居ればいいんだけどなあ。きっとここにいる誰よりも彼女の心がわかるはずなんだ。俺や他のみんなみたいに遠慮なんてしないからな。一匹狼だし。それがいつも悪い方向に回らないから、アイツはすごいんだよ。
……まあ、居ないやつの話をしても仕方ないよなあ。
ジャックのポケットの中で洩れる誰かについての話。