ええと、ラフ、代弁して。

オッケー、じゃあ初めよっか……。


ラフたちが来る前は、基地でのボクの遊び相手はもっぱらナマエだったよ。元々はこのソファもテレビもナマエが拾ってきた物なんだ。

ここに来るようになってしばらくは報告書を唸りながら書いてたのを覚えてる。それで、書き終わったらこのソファに横になって、ラチェットに「一時間後に起こして」って言って寝てたんだ。ラチェットったらナマエの言うことに文句ひとつ言わずに「ああ、おやすみ」とか言うんだ、今思うとすっごく平和。それに、あの頃のほうが、ボクらとナマエは近いところに居た気がする。

ナマエはクリフとすごく仲が良くって、クリフがよく悪ふざけにナマエを誘うから、アーシーとラチェットに怒られてた。うん、そう、だから、ナマエの心は今ボロボロなんだと思う。

良くも悪くもボクたちは戦争するのが当たり前だった。でも、人間は違う。ナマエはこの戦いに巻き込まれて、初めて違う種類の存在の友人ができて、そしてその友人を失ったんだ。そもそもなにかの命が失くなることを知ったのがはじめてだったんだよね。

だからかな。きっとそれまで楽しくやってたのを後悔してると思う。ぜんぜん悪いことじゃないのにね。危機感は持つべきだし、責任感もなくちゃいけないものだけど。でも、ナマエはそれ以上に、楽しかった思い出そのものを今否定してしまっているんだ。ボクらも、クリフも、絶対責めないのに、彼女は真面目だから。

ボクはラチェットや司令官と違って、幼いし、無茶もよくするし、それに楽しいことがダイスキで、う〜ん、彼女を元気づけてあげられると思ってたんだけど。喋れないのも勿論あるけど、ナマエには、ただ明るい雰囲気を近づけるだけじゃだめなんだ。

ちゃんと彼女の痛みをわかってあげた上で、彼女が欲しい言葉を言い当てられるオートボットが居ないのは残念だな。