ブレークダウンの専門は壊すことだから、てっきりブレインのできはあんまり良くないんだろうなあ、と思っていたと言ったら、ひどく悲しそうな顔をされてしまった。ごめんなさい。
「だって、ブレークダウンが超ロボット生命体なこと忘れてた」
「俺はそれは喜んだ方がいいのか?」
ネメシスの船室のだだっ広い床にうつ伏せで寝転がりながら(踏むからやめろとノックアウトに言われたけどやめられるものか)、学校の課題を目一杯広げている。そんなだらしのない学生を見下ろす巨大な隻眼。
先ほど数学の問題をいとも簡単に解いてしまった彼は、得意気に鼻を鳴らしたのだが。冒頭の私の心ない一言で今はしょんぼりしている。覇気がない。
「私の偏見がよくなかった」
「壊すのは好きだが得意は他にもちゃんとある」
「そうだね、ごめんね、元気だして」
ポケットをまさぐって出てきたレモンの飴玉を完璧なフォームで投げる。彼らにとっては雨粒くらいのものだろう。貰っても仕方がない。
けれど彼はすぐ、何かとても貴重なものを手に入れたかのようにはしゃぐ。私はそれをはいはいとなだめながら、内心はやく次の問題も解いて欲しいなあなんて願っている。
「次はさっきの応用編だって」
「任せろ!」