それから過酷ないじめは続いた。 ポッターやブラックだけでなく、全校生徒から私はいじめを受けた。 普段純血から迫害されているマグルからすると私は格好のストレス発散のおもちゃになったようだ。 新しく覚えた呪文の餌試し打ちの餌食になった。 いたずらグッズを私に向けきた。 私の私物が燃やされていた。 今まで言葉での蔑みだけだったがポッターたちのおかげで私に暴力を向けてくることになんの戸惑いもなくなった。 私も必死で抵抗しようとした。 こんな奴らに屈するのは嫌だと、強い気持ちを持っていた。 勝てなくても、いじめに負けないと、努力した。 けど無理だった。 セブルスもポッター達にいじめを受けていて果敢にも立ち向かっていた。 けどあのセブルスがどれだけ仕返ししても勝てないんだ。 私はなにしても無駄だ。 「エバネスコ!」 「っ! やっ!」 「おーすげー、まじでできんだな」 「だろ? 俺めっちゃ特訓したし!」 「スカートだけ消すとかすげえ難しそうだな、てか加減間違えたら人ごと消えるんじゃね?」 「まあなーけどまあ、イエローモンキーが消えたところで関係ねえだろ」 「確かに。だっせえパンツー!」 下着を見られないようにしゃがみこんだ。 それでも周りの人には気づかれてくすくす笑われる。 羞恥でその場から消えてなくなりたかった。 部屋に帰れば引き裂かれる私の私物。 「っ!」 慌ててベッドサイドを見れば、私の家族の写真が引きちぎられていた。 教科書にも破られた箇所や落書きがあった。 ルームメイトがクスクス笑ってた。 私の家族を侮辱された気がした。 魔法薬学で膨れ薬を調合した時。 上手く出来ていた。 セブルスに細かいところを教えてもらいながらだが順調だった。 「エンゴージオ」 誰かのせいで急に私の鍋の中身が肥大しだした。 肥大する中身に鍋が耐えられなくなって、爆発した。 完成間近に起こったことだったのでその薬をモロにかぶった私は皮膚が膨らんだ。 横のセブルスの皮膚も膨らんだ。 スラグホーン先生は私がミスを犯してほかの生徒に危害を加えたとして30点減点された。 「たまには運動もしないとね!」 廊下で足をかけられてこけた時、上級生の集団に囲まれてお腹や顔を何発も蹴られた。 私が血を吐いたところで暴行は終わる。 「エピスキー」 「ほんと魔法って便利よねえ」 「治せば証拠隠滅にもなるし」 私の傷を治してすっきりしたように立ち去る。 「ステューピファイ!」 「うっ」 「おお、やるねシリウス。力加減できるようになったんじゃないかい」 「当たり前だろ。足だけ麻痺させることなんて朝飯前だ」 転んだ私を見下ろした二人はニヤニヤと笑う。 「どんな気持ちだい? イエローモンキー」 「無様だな。いつ辞めるんだよお前」 「助けて欲しいかい? やめてほしいかい?」 しゃがみこんで私の顔を覗き込むポッター。 「エヴァンズと今後一切関わらないと誓って、スニベルスに攻撃呪文を撃ってきたらやめてあげてもいいよ」 優しくにっこりと悪魔の笑みを浮かべて恐ろしいことを言うポッター。 「くたばれ」 「はあ、折角君を解放してあげようと思ったのに。残念だ」 おやすみ、その言葉の次に失神呪文が唱えられて意識を失った。 目を覚ましたとき、リリーが泣いていた。 隣にいたセブルスも悔しそうに歯を食いしばっていた。 ああ、なにをされてもふたりがいる。 私を心配してくれるふたりがいる。 それだけで幸せだった。 (ふたりがいれば何もいらなかった) [戻る] ×
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